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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」行動できる人間になるための3つの方法
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.08.02 06:00 最終更新日:2021.08.02 06:00
■行動できない人が9割
私は今まで36冊の本を書いてきました。本を読んだ多くの人から「アウトプットを始めて人生が変わった!」「朝散歩を始めて調子がよくなった!」といった感謝のメールが届いています。
しかし、その一方で本を読んではみたものの “まったく行動に移せない” という人も非常に多い。私の実感では、行動する人はわずか1割で、残り約9割の人が行動できない人とみています。
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人に何かをすすめられて、そのときは「ああ、そうか」と思うものの、ほとんどの人は行動できずに終わります。私はこれを「行動における1対9の法則」と呼んでいます。
私のアウトプットの定義は「話す」「書く」「行動する」です。アウトプットは現実を変える力を持っていますが、特に重要なのが行動です。
本を100冊読んでも、その内容をひとつも行動に移さなければ、現実が変わることはありません。頭の中の情報量が増えるだけ。これではたんなる「自己満足」にすぎません。アウトプットする。特に行動することで「自己成長」が起こり、現実に変化をもたらすのです。
行動できない人を行動できる人に変えるには、どうすればいいのか? ここ数年、その問題をずっと考え続けてきました。今回は、「行動を最適化する方法」を3つお伝えします。
■(1)目標を低く設定する
私は、自分でオンラインサロン「樺沢塾」を運営して、そこの塾生に毎月、アウトプットの課題を出しています。しかし、課題をクリアしてコメントを書く人はたったの1割です。やはり、ここでも9割の人は行動できていない。その理由は、何でしょう?
樺沢塾生のコメントやリアルで聞いた意見、のべ1000人を超える塾生の行動観察からわかったのは、ほとんどの人は「目標が高すぎる!」ということです。
自己啓発系の本を読むと「夢は大きく!」「目標は高く!」と書かれています。しかし、高すぎる目標は現実味がないので、モチベーションの脳内物質・ドーパミンが分泌されません。つまり「やる気」や「意欲」が続かないのです。
たとえば、ダイエットを目指している人の中で、いきなり「3カ月で5kg痩せる」といった目標を掲げる人がいますが、どう考えても不可能です。もし、この人にそれだけの意志力があるなら、とっくの昔にダイエットに成功しているはずです。
こういう人は「3カ月で1kg痩せる」という目標ならどうでしょう?
3カ月で1kgは、1日換算で11g。「ご飯の大盛りをやめる」「ご飯を小盛りにして、サラダを追加する」「ジムに行って汗を流す」「間食のチョコレートを我慢する」……。そんな「プチ行動」ではありますが、どれも「11g」減の効果はありそうです。
これが目標を低く設定する、ということ。目標を低く設定すると「大きな効果」が得られないと思うかもしれませんが、仮に「3カ月で1kg」のダイエットが成功するなら、1年で4kgも痩せることができる! どんな大きな目標も「小さな目標」の積み上げでしかありません。目標は低く設定すべきなのです。
■(2)行動を細分化する
ここに、カットしていない大きなピザが1枚あります。とても一人では食べ切れそうにありません。
そこで12等分、ひと口サイズにカットします。ビール片手にテレビを観ながら、ピザをつまみます。1時間もしないうちに、まるまる1枚が胃の中に飲み込まれてしまいました……。
こんなたとえを持ち出したのは、行動すなわち「やるべきこと(TO DO)」を細分化すると、ひとつひとつのタスクをこなしていくうちに、いつの間にか多くの仕事をこなしていることをお伝えしたかったからです。
たとえば「TO DO リスト」に「午前中にメールを返信」とだけ書くよりも「メール返信 A社 B社 C社 Dさん Eさん」と書く。こうすると、誰に返信するのか、合わせて何通送るのかが一目瞭然です。そして終了するごとに、1件ずつ斜線で消していく。ゲーム感覚で楽しく、全てのメールを送信完了できるのです。
私は今、この原稿を書いていますが、その行動は「ノートに構成を書く」「テキストエディターに入力」「文字数を3000字に調整」「印刷して誤字脱字チェック」「イラストの指定」と、5つに細分化することができます。
まとまった時間が取れない場合は、「ノートに構成を書く」ことだけ前日にやっておく、など工夫をすることで圧倒的に仕事が効率化するのです。
目標、計画、TO DO リスト、タスクリストなど、どれも細分化することで、仕事がはかどる。効率化が進むからです。
■細分化がもたらす すごいメリット
細分化には、非常に大きなメリットがあります。それは、ひとつの目標、行動を分けた数だけ「成功体験」が得られるということです。
たとえば12個に分けた場合、半分失敗したとしても6個はプチ成功体験を積み上げることができる。結果として「自分はできる!」「やればできる!」という自己肯定感につながる。
すると、難しい課題にも失敗を恐れずチャレンジできるようになる。目標、行動を細分化するだけで自分が変わり、現実までも大きく変えることができるのです。
はじめに高い目標を掲げたり、大きな行動目標をたてたりする人は、最初から「無理」と思うので行動に移せない。結果として、成功体験が積み上がらず、いつまでも「失敗」を恐れ続けるだけ。自己成長もなく、何年たっても現状は変わりません。