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著者が語った『独学大全』本を全部読むのがつらければ必要な部分だけ読め

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.08.14 11:00 最終更新日:2021.08.14 11:00

著者が語った『独学大全』本を全部読むのがつらければ必要な部分だけ読め

『独学大全』20万部

 

 バカ売れ本の著者に無茶ぶりして聞きました。

 

「中身を1行で教えて!」

 

 著者の読書猿さんによると『独学大全』のポイントは「本を全部読むのがつらいときは必要な部分だけむ」だそうです。

 

 

 自ら学びはじめれば、すぐに同世代で頭ひとつ抜けた存在になれます。学ぶことでわからないことに突き当たり、自分よりも頭のいい人と遭遇し続けるから謙虚でいられる。

 

 

 世間では、学ぶことへのリスペクトがあまりないと感じています。努力していると冷やかされたりする。でも「学びはいいよ」ということを私は伝えたいんです。

 

 本書は800ページ近くあるので取っつきづらく感じるかもしれませんが、どこからでも読める構成なので、独学のための「道具箱」ととらえてください。巻末の索引は、それ自体で楽しめる内容にしたので、ここから読みはじめるのもおすすめです。

 

「中年の危機」という言葉があるように、40、50代は「自分の人生、これでよかったんだろうか」と思う時期。岐路に立ったとき、いちばん簡単に取り組めるのが独学だと思うんです。脱サラしなくても、出家しなくても、今すぐ別の人生を始められる。それも、何歳からでも。お金もかからず、いい趣味だと思います。

 

 もともと私は、勉強はもちろん、体育も大嫌いでした。でも、大人になって体を動かしてみるとスポーツは楽しい。勉強も同じ。多くの人は、学校で勉強が嫌いになっていたり、もうやったから必要ないと考えていたりする。でも、人間にとって「知識欲」は基礎的な欲求。学びたいという意志は本能に備わっています。

 

 漫画『ちはやふる』に「やりたいことを思いっきりやるためには、やりたくないことも思いっきりやんなきゃいけないんだ」というセリフがあります。独学もまさにこれで、地味な面は多いですが、やらないと味わえない世界がある。

 

 ここに、すごくおもしろいことが扱われているけれど自分の読めない言葉で書かれた本があるとします。文法や単語を覚えるのはつらい作業ですが、読めるようになった喜びは何物にも代えがたい。ひとつ読めるようになれば、また別の扉が開く。それでまた勉強する……芋虫のように少しずつ進んでいけばいいんです。

 

 読書は独学の中心ですが、読むことが困難な本にぶち当たることもしばしばです。でも、他人が書いた文章というのは理解できなくて当然なんです。みんな、ふだんは自分が好きなものしか読んでいないだけ。逆に読めないのが当たり前だと思っていると、出合える文献の幅がグローバルに、人類が手に入れた知識全体にまで広がる。

 

 プラトンやデカルトなんてあなたのことを知りもしないし、たいていの書物はあなたのために書かれていない。当然、読むのも理解するのも難しい。けれど、そこでワクワクするようになれば独学の心構えは十分です。

 

どくしょざる
幼いころから読書が苦手で、1冊を読み終えるのに5年くらいかかっていた。2008年にブログを開設。ギリシャ時代の古典から個人のTwitterの投稿まで、あらゆる知をカテゴリーごとにまとめ、独自の視点で紹介し人気を博す。昼間は組織人として働き、通勤時間と土日を利用して独学に励む

 

(週刊FLASH 2021年8月17日・24日号)

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