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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」テレワークで重要な雑談力を高める5つのコツ

ライフ・マネー 投稿日:2021.09.20 06:00FLASH編集部

樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」テレワークで重要な雑談力を高める5つのコツ

オンライン会議に役立つ雑談力を高めるには

 

雑談で「ポジティブ感情」UP

 

 コロナ禍が長期化するなか、企業の多くでテレワークが一般化した感があります。しかし、その一方で、「メンバー同士のコミュニケーション不足」「孤独感・孤立感」「パソコンのモニターを通して監視されているような感覚」を訴える人もいます。

 

 実際に「テレワークでうつ病になった」などのさまざまな問題が発生しているようです。こうした問題を解消するうえで重要な切り札となるのが、じつは「雑談」です。

 

 

『雑談力が上がる話し方』(齋藤孝著、ダイヤモンド社)、『超一流の雑談力』(安田正著、文響社)など、定期的にベストセラーが出ることからもわかるように、「雑談」は多くの人たちの関心の高いテーマといえます。

 

 それだけ雑談の効果も認識されているということですが、対面だけでなく、パソコンのモニター越しでも効果はあります。そこで今回は、テレワーク時代における雑談力アップの方法をお伝えします。

 

「ハーバード・ビジネス・レビュー」(2021年3月)に「リモートワークでも雑談できる仕組みが必要だ」という興味深い論文が載っていました。

 

 著者らはコロナ禍以前にフルタイムで働く成人151人を対象に、「その日に職場でどの程度雑談をしたか」、雑談後の「ポジティブ感情(親近感、自尊心、感謝の念)」などを調査しました。その結果、ふだんより多く雑談した日には、よりポジティブな気持ちになり、燃え尽きる度合いが低くなるということがわかりました。

 

 雑談によって、「注意散漫になった」「時間がとられた」とマイナスの効果を述べる人もいましたが、それらは、いくつかの工夫によってコントロール可能である、といいます。

 

 つまり、雑談を上手に活用すれば、「集中力」や「ポジティブ感情」を高めることができる。仕事の効率を高め、メンタル的にもネガティブに偏ることを予防できる、ということです。

 

 この調査結果から、著者らは「リモートワーク下では雑談の量が圧倒的に減っている。意識的に雑談できる環境を整えることが重要」と結論づけています。

 

■雑談はコミュニケーションの入口

 

 私の知人のAさんが勤務する会社は、ほぼ完全にリモートワーク化されています。Aさんは部下であるB子さん(20代、一人暮らし)とオンラインで定期的に顔を合わせていたのですが、いきなり「うつ病になったので休職します」と報告してきたといいます。

 

 B子さんとは昨日までオンラインで打ち合わせをしていたというのに、悩みを相談されることもなく、つらそうな様子も認められなかったそうです。Aさんは「何か相談してくれれば、自分にできることもあったのに」とショックを受けていました。

 

 これは、テレワークによるコミュニケーション不全の問題が、顕著に表われた一例です。リアルに顔を合わせていれば、「調子が悪そう」と気づくことができます。相手も「テレワークって、けっこうストレスですよね」と、雑談の延長で話しづらいことを話してくれる可能性もあったでしょう。

 

 精神科の診察では、患者さんから最近あった出来事を聞くことが多くあります。つまり「雑談」のようなものです。「友達とカラオケに行って楽しかった」と笑顔で話してくれれば、それは「調子がよい」証拠。雑談の中で、相手の表情や声がはつらつとしているかなどの、「非言語的情報」を集めることができます。

 

 また、雑談で少しほぐれた後に、患者さんから「じつは……」と深刻な告白をされることもあります。かしこまった診察を30分しても、患者さんが心を開いて、本音を話してくれるとは限りません。

 

 雑談はコミュニケーションの入口です。雑談によって相手が心の扉を開かないと、「深刻な心の問題」を打ち明けてくれることはありません。ビジネスの場面でも、まずは雑談で打ち解けて親密度を高め、肝心の商談に持っていくのは定石です。

 

 そこで、雑談のポイント、特にオンラインでもうまく雑談ができるコツを5つご紹介しましょう。会社の部署やチームだけでなく、取引先とのオンラインでの打ち合わせなどにも使える内容です。

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