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食堂のおばちゃんの人生相談「人と話すのが苦手で友達がいない」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.09.27 11:00 最終更新日:2021.09.27 11:00

「食堂のおばちゃん」として働きながら執筆活動をし、小説『月下上海』で松本清張賞を受賞した作家・山口恵以子。テレビでも活躍する山口先生が、世の迷える男性たちのお悩みに答える!

 

【お悩み/S.T.Aさん(31)会社員】

 

 人と話すのが苦手で友達がいません。人の集まりも苦手で、仕事帰りの飲み会に誘われても断わっています。だけど真っ直ぐ帰ってひとりチビチビ飲みながらDVDを観て過ごすのも寂しくて仕方がないんです。

 

 

【山口先生のお答え】

 

 乱暴な話ですが、私は人間には2種類いると思います。“世間話のできる人” と “世間話のできない人 ”です。世間話ができるというのは、初対面の人や親しくない人とでも、当たり障りのない会話をしながら、時間をやり過ごせるってことですね。

 

 おばちゃんはだいたい、これが得意です。おばちゃん3人を同じ部屋に2時間入れておけば、家族構成から職場環境から、お互いすっかり熟知しちゃいます。誰かがバッグから飴出してくれますし。

 

 でも、おじさんは世間話ができないんですね。出身校が同じとか、共通の知人がいるとか、何か共有するものがないと、挨拶もせずに黙りこくって、永遠に未知の人のまま別れていきます。

 

 つまり、世間話ができるかどうかは “おばさん体質” に生まれたかどうかで決まるので、“おじさん体質” に生まれた以上、人づき合いが苦手なのは宿命ですね。

 

 女性だって “おじさん体質” に生まれたら、人づき合いが苦手よ。周囲をよく見れば、呑み会の多い職場には必ず “おばさん体質” の男女が揃っているはずです。

 

 さて、人間は世間話をしないといけないのでしょうか?

 

 私は人間関係を円滑に保つためには必要だと思いますね。職場とか学校というのは赤の他人の集まりだから、気の合う人もいればそりの合わない人もいる。

 

 でも、ある一定の期間は仲間として一緒に過ごさなくちゃならない。それなら、なるべく衝突のないように、ともに過ごす時間をやり過ごしていくほうが精神的に楽でしょう。

 

 そのために人は世間話をするんですね。楽しいとか面白いとかの問題じゃないわけ。“処世術” というものです。

 

 S.T.Aさんに混同してほしくないのは、職場の仲間や同級生と “友達” は別物だと言うことです。職場の仲間や同級生と、敵を作らずに上手くつき合って行くのは、大事なことです。それは、あなたが生活する場所の環境を整備することですから。

 

 でも同級生や職場の仲間は “友達” ではありません。たまたま親友になる場合もありますが、それは例外です。

 

 身もフタもないことを言ってしまうと、人間関係はご縁で始まり、相性で続いていくものです。縁あって親子に生まれ、あるいは夫婦になっても、相性が悪いと縁が切れてしまいます。“友達” はご縁があって出会うものですが、相性がいいか悪いかは人それぞれで、つき合いが続くうちにわかってくるものでしょう。

 

 S.T.Aさん、友達が欲しかったら一番手っ取り早いのは、同じ趣味趣向の人の集まる場所に身を置くことです。カラオケバー、鉄道模型の店、好きなサークル、サイトのオフ会、なんでも結構。そこで出会う人となら “友達” になれる可能性大だと思います。

 

 ご縁が出来たら、次はそのご縁が続くように努力しましょう。友達のためにちょっと無理したりするって、結構楽しいですよ。

 

やまぐちえいこ
1958年、東京都生まれ。早稲田大学文学部卒。就職した宝飾会社が倒産し、派遣の仕事をしながら松竹シナリオ研究所基礎科修了。丸の内新聞事業協同組合(東京都千代田区)の社員食堂に12年間勤務し、2014年に退職。2013年6月に『月下上海』が松本清張賞を受賞。『食堂メッシタ』『食堂のおばちゃん』シリーズ、そして最新刊『夜の塩』(徳間書店)が発売中

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