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樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」リーダーがやってはいけない4カ条

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2021.10.11 06:00 最終更新日:2021.10.11 06:00

樺沢紫苑の「読む!エナジードリンク」リーダーがやってはいけない4カ条

リーダーが「してはいけない」ことは?

 

 10月4日、自民党の岸田文雄氏が第100代内閣総理大臣に選出されました。日本の新しいリーダーは、コロナ禍における難局をどう舵取りしていくのか。国民の関心が高まるのも当然でしょう。

 

 菅義偉前首相は、オリンピックを無事開催し、ワクチン接種を世界的にも異例のスピードで実行するなど、政治家としての調整能力は非常に高かったと思います。

 

 

 ただ残念ながら、自信なさげな弱々しい話し方やスピーチ力の乏しさのせいでかなり損をした感があります。人々から信頼されるリーダーはどういう資質が必要なのか、そういうことを考えさせられる1年余りでした。

 

 政治家に限らず、会社の経営者、管理職、チームリーダーなど、組織においては構成員を引っ張るリーダーの存在が必要不可欠です。そこで今回は、心理学の見地から、リーダーシップについて考えていきたいと思います。

 

■父性の要件

 

 人に信頼されるためには、「父性」が必要です。「父性」とは、父親に期待される資質、役割のことですが、具体的にどんな「資質」「役割」が必要かまで書かれている本は見当たりません。

 

 そこで、古今東西の映画やアニメ作品のなかから数百本を心理学の見地から分析し、「父性とは何か」をまとめたのが、拙著『父滅の刃 消えた父親はどこへ』(みらいパブリッシング)です。

 

 この本で述べた、4つの父性の要件は次のとおりです。

 

(1)規範を示している

(2)尊敬、信頼されている

(3)「凄い」「そうなりたい」と思われている

(4)ビジョン、理念、方向性を示している

 

 じつはこの4つは、「頼りがいのある父親」の条件、つまり「頼りがいのある上司」「信頼されるリーダー」の条件に、そのままあてはまります。多くの人は、こうした条件を持つ人に対し、無意識に尊敬の念や信頼する気持ちを抱いてしまう、というわけです。

 

 父性を「男性」「父親」に自然に備わる性質と勘違いする人が多いのですが、「男性」「女性」「父親」「母親」は関係ありません。女性や母親でも父性にあふれた人はたくさんいますし、男性や父親がみな父性を備えているわけではありません。

 

 いずれにしても、性別や属性を問わず、父性の持ち主が信頼や人望を集めることに間違いはありません。

 

■逆説的リーダーシップ論

 

 さて、この4つの「父性の要件」に関し、皆さんが仕事や日常生活において意識しようと思っても、いささか抽象的であるため、そのままの形では実践しにくいことでしょう。

 

 そこでここからは、4つの要件とは逆の視点で、「リーダーがしてはいけない」「避けたい」ことを4つ挙げてみることにします。言い換えれば、これは「部下から信頼されない上司」の要件ともいえます。これを反面教師にすれば、父性に基づいたリーダーシップが身につきます。具体的に述べていきますので、自分がそれにあてはまるかどうか、チェックをしながら読み進めてください。

 

[1]朝令暮改

 

 ビジョン、理念、方向性が明確でブレがない。つまり、主義、主張、行動が一貫していることが、信頼されるリーダーの条件です。逆に、「言っている内容がコロコロ変わる」人は信頼されないということです。

 

 職場で「A社の案件を最優先でやれ!」と言っていた上司が、1週間後には「なぜB社の案件が進んでいないんだ!?」と、理不尽なことを言うような場合。

 

 こんなことが、たびたび繰り返されると、部下は「どうせまた言うことが変わるに違いないから、適当にやっておけ」と、仕事に全力で取り組む気持ちを失います。部下から「この人の言うことは、話半分で聞いておいたほうがいい」と思われてしまうと、リーダーシップどころか、人間としての信頼を失います。

 

 朝令暮改(朝言ったことが、夕方には変更される)では、部下はついてきません。主義主張が首尾一貫していることが大切です。

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