(3)街角ぶらり歩き
「丸一日時間を取るのは難しい」という人は、降りたことのない駅で降りて商店街などを散歩する、「街角ぶらり歩き」がおすすめです。
創造性や発想力、ひらめきと関連する脳内物質「アセチルコリン」。今までやったことのないこと、新しいことに挑戦する、あるいは、行ったことのない場所を歩くだけでも、アセチルコリンは活性化するといいます。
創造性や発想力は、あなたの仕事、ビジネスにも直結する重要な能力です。それが、遊びを通して養われる。遊びは、脳の活性化にもつながるのです。
自宅の駅から、電車で3駅くらい前後の駅は、意外と降りたことがないはず。そのどれかで降りてみて、ノープランでぶらぶら散歩する。商店街で美味しそうな惣菜を見つけたら買い食いしたり、雰囲気のよさそうな喫茶店やカフェに入ってみるのもいいでしょう。
自分の直感を信じ、行き当たりばったりで散歩するほど、アセチルコリンの活性化につながります。
(4)ガーデニング
「散歩する暇もないです」「お金もないです」という人のために、一日1分、たったの100円でできる、簡単な気分転換法をお教えします。それは、ガーデニングです。
ペットを飼うと「愛、つながり」のホルモン、オキシトシンが分泌されますが、最近の研究では植物を育てるだけでも、オキシトシンが分泌されることがわかっています。
オキシトシンは、リラックス効果、ストレス発散効果が高く、副交感神経の働きが活発になり、免疫力を高め、心臓病のリスクを減らします。
老人ホームの入居者グループに、毎日観葉植物の世話をさせたところ、幸福度が改善し、死亡率が半分以下に下がった、という研究があります。
ガーデニングというと、自分の庭がないとできない、マンションのベランダに植木鉢を何十個も並べるというイメージがあるかもしれませんが、植木鉢ひとつ、プランターひとつでもいいのです。私のおすすめは、豆苗を育てること。私自身やっていますが、じつに楽しいです。
豆苗は、エンドウ豆の若葉。スーパーに行くと、100円以下で売っています。これを食べた後に、根の部分を、プラスチック容器に入れて、水を入れます。すると1週間ほどで育ってきて、もう一度収穫できます。毎日水を取り換えると、2回は収穫できます。
前日より1~2cmも伸びていたりして、成長がはっきり目に見える。これが楽しい。一方で、何日か水を交換しないと枯れてしまうので、「世話をしてあげている」という感覚(オキシトシン分泌)も得られます。
また、豆苗はビタミンC、ビタミンB1、B6、B12、葉酸、βカロテンが豊富で、「食べるサプリメント」といえます。
育てる楽しみ、ストレス発散効果、美味しく食べられる、そして栄養による健康効果。手間も水の交換だけなので、一日1分でできる最強のストレス解消法だと思います。
まだまだ続くであろうコロナ禍。不安やストレスから逃れられない状態で、根を詰めて仕事ばかりしていると、コロナ以外の病気になる確率を高めるだけです。
遊びたいけど、「お金がない」「時間がない」という人は、今回挙げた「お金も時間もかけずに遊ぶ方法」をぜひ参考にしてください。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし
(週刊FLASH 2021年11月2日号)