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【日本一の名医「神の手」たちの手術現場(1)】食道ガン手術
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2017.02.18 17:00 最終更新日:2017.02.18 17:00
「名医」といえば、一般には医学会の長老や大学病院の老教授の姿を思い浮かべる。だが、医師の間での評価は異なる。「臨床現場、特に外科系はアスリートと同じ。『現役』には限りがある。経験と体力がマッチするのは40代から50代まで」(医療法人理事)。医師が選ぶ第一線で活躍中の「真の名医」たちを紹介しよう。
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食道ガンの患者数は増えているわけではない。発症率で比較すると、胃ガンの10分の1程度というところだ。
「手術のトレーニングを積むのがなかなか難しいガンといえます。一般の病院では、年間5~10例程度ですから」
愛知県がんセンター中央病院の安部哲也医師(48)は4人でチームを組んでいる。学会でメンバーが抜ければ、お互いに助け合い、手術も回診もチームでおこなっている。
毎週木曜日に開かれるミーティングには、外科医のほかに消化器内科、腫瘍内科、放射線治療など、さまざまな科の医師が参加。愛知県がんセンターに入院した患者の治療方針は、医師らの総意で決められる。
「ステージⅠの食道ガンなら、抗ガン剤と放射線の組み合わせで8割方治る。『手術以外の方法もある』とお話しすると、喜ぶ患者さんがいます。手術を進んで受けたい人はいませんからね」
最初から食道ガンの専門医を目指していたわけではない。目の前の仕事をただ必死にこなしてきただけだという。「今でも完璧だとは思っていません」と安部医師は謙遜するが、ある国立大学教授はこう話す。
「食道ガンは男性に多いガン。安部医師は世代交代が著しいこの領域で頭角を現わしています。その証拠に、一般の病院だと年間10例程度ですが、安部医師は固定したチームで年間に80例を執刀。開胸と腹腔鏡下手術で手術時間の差はほぼありません」
【安部哲也】
'68年3月31日生まれ 愛知県出身 '93年名古屋大学医学部卒業。同年、同大学第1外科入局。助教を経て、'08年愛知県がんセンター中央病院胸部外科医長。'11年より消化器外科部食道外科診療科医長
(週刊FLASH 2017年2月7日号)