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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』短時間で最大の効果を生む「いま読むべき5冊」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.01.17 06:00 最終更新日:2022.01.17 09:08

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』短時間で最大の効果を生む「いま読むべき5冊」

いま読むべき5冊は?

 

 年末年始、マスコミや書評ブロガーたちによって、2021年の書籍ベストテンが発表されました。読書家である私としても本には思い入れがありますので、2021年に読んだ本のなかから、珠玉の5冊を選びました。どれも甲乙つけがたいので、順位はつけません。いずれも、2021年に売れた本ですが、2020年に発売されたものも含まれています。

 

 

■『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳/新潮新書

 

 2021年年間ベストセラー「新書ノンフィクション部門」1位(日販調べ)になったことで話題になりました。

 

 私たちの生活や仕事において、スマホは欠かせないデバイス。私たちは一日に平均2600回以上もスマホをさわり、また社会人の2人に1人が、スマホの使用時間が5時間を超えていて、まさに「スマホ依存症」とも呼べる状態になっています。

 

 さらに、スマホの長時間使用で睡眠障害、うつ、学力低下が引き起こされています。スマホをポケットに入れるだけで、集中力が低下し、仕事や勉強の効率が大幅に下がっているのです。

 

 私たちは、「スマホの使いすぎは悪い」と漠然とは知りながら、具体的にどのような害悪がもたらされているかを知りません。本書は精神科医の著者が、スマホの脳科学的な弊害を、圧倒的な科学的データをもとに、論理的に解説しています。

 

 私が考える良書の条件は、目新しいことが書かれているだけではなく、「読む人の行動を変える力を持っている」ことです。

 

 その意味において本書は、一読するだけで「スマホの使用時間を減らそう」「仕事の効率を高めるためにデジタルデトックスしよう」という気持ちに駆り立ててくれます。スマホの利用時間が5時間超えの人は、読むべき1冊です。

 

■『認知症世界の歩き方─認知症のある人の頭の中をのぞいてみたら?』筧裕介著/ライツ社

 

 認知症の主要症状は「記憶障害」とひと言で表わされるものの、実際に「記憶がなくなる」とどのような不安や恐怖を感じるのでしょうか?

 

 本書は、認知症の患者が日常世界をどのように見て、どのように感じているのかを、『地球の歩き方』のような、海外旅行ガイドブック的な構成・デザインによって解説しています。

 

 本書の特徴は、医師や医療関係者が執筆したものではなく、デザインの専門家が、当事者(認知症患者)約100人へのインタビューをもとに作った本ということ。

 

 医学的な「症状」や「診断」というものをゼロベースにリセットしたうえで、患者の「語り」をまとめ、整理して再構成。当事者の気持ちや困っていること、不便に感じていることなどを徹底的に掘り下げた、今までありそうでなかった視点でまとめています。

 

 患者の「認知」や「症状」をここまでわかりやすく、かつユーモアも交えつつ伝えている点において、ある意味、革命的な1冊です。

 

■『AI分析でわかった トップ5%社員の習慣』越川慎司著/ディスカヴァー・トゥエンティワン

 

「一生懸命仕事を頑張っているのに、会社でまったく評価されない」と感じているビジネスマンは多いことでしょう。しかし、そういう人の話をくわしく聞いてみると、「頑張り方」が間違っていることが往々にしてあります。そのことを浮き彫りにしたのが本書です。

 

 たとえば、95%の社員は「膨大な資料を長時間かけて、魂をこめて作る」。一方で、トップ5%の社員は「成果を出すことに照準を合わせたシンプルな資料を、短時間で作る」。

 

 どちらが、会社や上司から評価されるでしょう? 努力、根性でどれだけ頑張っても、ポイントがズレているとまったく評価されないのです。

 

 トップ5%社員は、「目的」や「ニーズ」を押さえたうえで、集中力と生産性を高め、能力を効率的かつ最大限に発揮することを習慣にしています。

 

 しかし、この習慣を、95%の社員は理解していません。そもそも、そんな細かいことまでは誰も教えてくれないので、本を読んで自分で気づくしかない。

 

 そんな95%の社員に「最高の気づき」を与え、働き方のズレを補正してくれる、それがこの本です。会社での評価に不満をいだいている人、自分の働き方を見直したい人は必読です。

 

( 週刊FLASH 2022年1月25日号 )

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