■成功のイメージトレーニングをする
告白しないと大損する理由を4つ挙げてきましたが、「それはわかったけど、やはり行動に移せない」という人も多いでしょう。
そこで、ここから成功率を上げる話をしていきます。
告白できない人の多くは、「告白して、フラれたらどうしよう」と最悪の状態をイメージし、徹底して「失敗」のイメージトレーニングをしてしまいます。だから失敗するか、告白できないまま終わるのです。
そういう人には、告白して「もし成功したらどうしよう」と「成功」のイメージトレーニングをおすすめします。「最初のデートはどこに行こうか?」「彼女と一緒にディズニーランドに行っちゃう?」「夜はミシュラン星つきの高級フレンチで食事しちゃう?」……。こんなふうに「もし成功したらどうしよう」と考えると、ワクワクが止まりません。「それは妄想だ!」と言われるかもしれませんが、妄想でいいのです。
こうしたワクワクする瞬間には、ドーパミンが分泌されます。ドーパミンは「幸せ」の源、「幸福物質」。ドーパミンが分泌している人は、目がキラキラしていて、「やる気」と「自信」にあふれています。つまり、「一緒にいると楽しそう」「一緒にいると幸せになりそう」と相手は思ってくれるのです。
一方で、「フラれたらどうしよう」と「失敗」のイメージトレーニングをする人には、ノルアドレナリンが分泌されます。ノルアドレナリンは、不安や恐怖の源となる物質。つまり、「フラれたらどうしよう」と思って告白する人は、ホラー映画を観た後のような表情をしているわけです。表情がこわばったような感じですね。どう見ても幸せそうには感じられない。そんな人とは、誰もおつき合いしたいとは思いませんから、告白は失敗に終わるのです。
この “「失敗」のイメージトレーニングをする人は失敗しやすい” という法則は、恋愛に限らずスポーツ、ビジネス、すべての人間関係において当てはまります。
北京五輪が始まりましたが、すべての選手は、自分の技が成功する、試合に勝つイメージトレーニングを徹底しておこなっているでしょう。毎日、失敗のイメージトレーニングをおこない、本番で圧倒的な実力を発揮し、金メダルを獲れるアスリートなどいません。
「成功」のイメージトレーニングの大切さをおわかりいただけたでしょうか。「成功」のイメージトレーニングをする人と、「失敗」のイメージトレーニングをする人とでは、告白の成功率は何倍も変わるはずです。
■失恋するとメンタルが強くなる
ここまで読んでも、まだ「フラれたらどうしよう」と告白に踏み切れず、ウジウジしている人は多いでしょう。そんな人は、メンタルを強くするために考え方を変える必要があります。
以前、一流大学を卒業して、一流企業に就職したのに上司に叱られてメンタル的に凹み、1カ月で退職した人のエピソードを紹介しました。いささか乱暴な言い方になりますが、そんな人も3回くらい失恋経験を繰り返せば、会社を辞めることはなかったでしょう。
失恋はメンタルを強くする。だから、今すぐ告白して、フラれたらいいのです。たった一度の失恋でも、メンタルは強くなります。それは、人生においてものすごい財産となります。ですから、10回以上は告白して、10回くらいは失恋したほうがいいのです。
いや、「3分の1の成功率」からすれば、10回のうち3回以上は成功するかもしれない。仮にフラれたとしても「メンタルが強くなる」という、はかりしれないメリットを享受することができるのです。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし