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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』本番で最大限の力を発揮するための4大ポイント
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.21 06:00 最終更新日:2022.02.21 06:00
北京五輪で多くの日本人アスリートが活躍してくれました。数十年前の五輪を思い出すと、世界選手権で優勝しているのに、五輪本番で力を発揮できない日本人選手が多かったように思います。
しかし、最近のZ世代の選手は、五輪本番で最大限の力を発揮し、自己最高得点や、自己最高順位をたたき出す選手も少なくありません。
たとえば、フィギュアスケート団体戦の男子フリーで滑走した鍵山優真選手は、いきなり自己最高得点を出しましたね。本番で最大限の力を発揮する人と、失敗してしまう人の違いはどこにあるのでしょう?
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もっと身近な話。ビジネスにおけるプレゼンテーションなどでも、本番に強い人と弱い人に分かれると思います。今回は本番で最大限の力を発揮する方法について、4つのポイントから考えてみたいと思います。
(1)「太陽モチベーション」を活用
イソップ寓話『北風と太陽』はご存じですね。北風と太陽が力比べをします。旅人の外套を脱がせることができれば勝ちです。北風が力いっぱい吹いて外套を吹き飛ばそうとしますが、旅人はむしろしっかり押さえてしまいます。次に、太陽がポカポカとした日差しで照りつけると、旅人は暑さに耐え切れず自分から外套を脱ぎました。
この話をベースに、人に何か行動を促す場合、強制、恫喝などによって精神的なプレッシャーを与え、不安、恐怖をあおるやり方を「北風モチベーション」。反対に楽しい、前向き、自発的といったポジティブな要素を使って人を動かすことを「太陽モチベーション」と私は呼びます
昭和のスポーツにおけるトレーニングといえば、『巨人の星』に代表されるような根性論が支配していました。徹底的に厳しい練習を課し、本番で失敗すると監督やコーチにひどく叱られる。そんな「北風モチベーション」を使った指導が主流だったのです。
「失敗すると怒られる。だから頑張ろう」というモチベーションは、短期的にはある程度の効果を発揮するのですが、大舞台となる本番には非常に弱い。不安や恐怖は、ノルアドレナリンを分泌させますが、ノルアドレナリンこそが緊張の正体。ノルアドレナリンが出すぎると過緊張となり、失敗するリスクを高めるからです。
最近のスポーツ界は、選手の自発性などを大切にして、スポーツそのものを楽しむ、楽しいから頑張れるという「太陽モチベーション」の指導が主流になっています。
この場合、脳科学的にはドーパミンが優位な状態となります。わかりやすくいえば、「楽しい」という感情が、「不安」や「緊張」を中和するのです。そうして、「大舞台ほど楽しい!」と感じられれば、ふだん以上の実力が発揮されるわけです。
会社で部下を指導する場面においても、恐怖による「北風モチベーション」は短期的には効果が出るものの、長期的には「燃え尽き」の原因となり、むしろ部下のモチベーションを下げます。
部下の自発性を尊重し、アウトプットさせて、部下の達成感を大切にする。そんな「太陽モチベーション」による指導が、長期的には仕事の業績アップにつながるのです。
(2)成功をありありとイメージ
一流のアスリートたちが、イメージトレーニングを重視していることはご存じかと思います。五輪本番の舞台をありありとイメージし、そこで自分の技が見事に成功するイメージを、何百回も頭の中で繰り返すのです。
「たかがイメージトレーニング」と思う人がいるかもしれませんが、そこでおこなわれるのはきわめてリアルなトレーニングです。すなわちどの筋肉にどれだけの力を入れ、そのとき重心がどの位置に動いていくのか、ということを本番さながらに、正確にイメージします。それは実際に体を動かしておこなった技1回分に匹敵する効果が得られるといわれます。
動きを「体に覚えさせる」ためには、同じ動きを何度も繰り返すしかありません。体の動きは、小脳を介した運動記憶として固定されますが、イメージトレーニングをすることで、小脳を介した運動記憶を強化することができるのです。
難度がきわめて高い技を何十回も練習すると、怪我のリスクも高まります。それを避けるためにも、イメージトレーニングによって、成功したときの筋肉の使い方やタイミングなどを、徹底して記憶させるわけです。