■(4)プランBに切り替える
今回のロコ・ソラーレの活躍で、「プランA、プランB」という考え方が世の中に広がったのではないでしょうか。プランAは「最善策」、プランBは「次善策」です。思ったとおりのショットができなかった場合は、すぐにプランBに変更してリカバリーする。
そのためには事前のコミュニケーションによって、「プランAでダメなときはプランBでいく」ことをしっかりと情報共有し、意思疎通しておくことが必須です。
多くの人は、物事を「成功」か「失敗」の二分法的思考で考えてしまいます。だから、「失敗」すると落ち込み、思考停止してしまうのです。なんでも100%の「失敗」などありません。
ただ、「うまくいかない」ことは多いから、そこを先回りしてプランBを準備しておく。70点未満が「失敗」だとすると、「70点を80点に」する方法を準備しておけば、「安心できる状況」が生まれて、プランAの成功率も高まるのです。
■(5)上手にリラックスする
銅メダルを獲得した前回、2018年の平昌五輪のとき、「そだねー」とともに「もぐもぐタイム」が流行語になりました。ハーフタイムの休憩時間に、各選手が持ち込んだおやつを、ミーティングしながらリラックスした雰囲気で食べる様子を微笑ましく思った人も多いでしょう。
前回は地元・北海道北見市のお菓子「赤いサイロ」が話題になりましたが、今回の五輪では、ようかん、干し芋、どら焼きなどのおやつが注目されました。
オリンピックでは、誰もが極度の緊張に追い込まれるはずです。そんななかで「リラックスできる人」こそが、本来の実力を発揮できるといえるでしょう。
緊張を強いられるプレゼンなどの合間に、おやつやドリンクなどを取り入れて、緊張をほぐしている人をときどき見かけます。仕事ができる人ほど、うまくリラックスしているのです。
笑顔でポジティブな言葉をかけ合い、コミュニケーションを密にする。失敗しても、そこからフィードバックし、プランBに切り替える。
ロコ・ソラーレから学ぶ「勝負に強くなる5つの法則」は、私たちの日々の仕事にも非常に応用しやすいものばかりです。ぜひ、取り入れてみてはいかがですか?
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動
イラスト・浜本ひろし