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ネット炎上保険「補償額1000万円」は高いのか低いのか
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2017.03.29 12:00 最終更新日:2017.03.29 12:00
企業が長年積み上げてきた顧客との信頼関係を一瞬で崩壊させるのが、SNSやブログ、電子掲示板などでの炎上だ。不祥事の発覚や不謹慎な発言、従業員の悪ノリの投稿などで、あっという間に炎上し、最悪の場合、店舗の閉店や倒産に追い込まれることもある。
今年2月、経営者Q&Aを掲載している独立行政法人・中小企業基盤整備機構のサイトに、「従業員のSNS投稿による炎上リスクについて教えてください」との質問が寄せられた。
それに対する回答として、以下の6つの炎上事例があげられている。
(1)受け取り方によって不謹慎と捉えられる事件や災害等に関する発言、名誉毀損となり得る中傷、失言
(2)著名人の来客情報などの情報漏えい、プライバシーの侵害
(3)商品や備品の破損、不衛生な行動などの「悪ノリ」の投稿
(4)個人所有アカウントと勘違いするなど、誤操作の投稿
(5)SNSを用いた不適切なキャンペーン活動
(6)“ブラック企業”と解される事情の内部告発
飲食店で働くアルバイトや従業員が備品を使って悪ふざけし、それがインターネット上で拡散されれば、不衛生だとして売り上げに深刻なダメージを与える。もちろんそれは会社の不始末なのだが、来店した客が問題行動を起こし、それが拡散する場合も多く、企業は対応に苦慮してきた。
そこで誕生したのが、国内初となる企業向け「ネット炎上対応費用保険」だ。
「ネット炎上の発生件数は5年で10倍ほどに増えています。保険加入で、信頼回復のための会見、発表、広告等のために支出した費用を補償します」(損保ジャパン日本興亜広報部)
問題が発生した場合、まずは炎上を最小限にとどめなければならない。そのため24時間体制のWebモニタリングが必須となる。そして、いったん炎上が起きてしまうと責任の有無に関わらず、企業はさまざまな対応に追われる。そのコストはどれくらいなのか?
この炎上保険の掛け金は、業種や売上高、従業員数によって異なるが、年間50万~100万円ほど。補償される金額は、基本は1000万円までだという。この金額で対応にかかる諸経費がだいたいカバーできるようだ。
保険が販売されてから10日ほどで数十件の問い合わせが来ているというが、年間50万~100万円のコストを高いとみるか安いとみるかは企業によって異なるだろう。ただ、重要なのは補償される金額は実際にかかった処理費用であり、失われた信用やイメージ失墜の損害は計上されていない点。
数年前まで誰も想定していなかったネット炎上という事態。いまや災厄はどの企業にも、平等に、しかも突発的にやってくるのだ――。