■(4)入浴剤を楽しむ
風呂に入るのは面倒、あるいは、時間がもったいない、という人もいるでしょう。そういう人は「入浴」の目的を「体の汚れをとる」ことくらいにしか考えてないのでは? 「入浴は最高の娯楽」と考えれば、最高のリラックスタイムとなり、気分転換、ストレス発散の効果も高まります。そして、その効果をさらに高めるのに、湯船に「自分のお気に入りの入浴剤」を入れることをおすすめします。「アロマ(香り)を楽しむ」「温泉に行った気分になる」などのエンタメ要素を盛り込むと、「風呂は面倒」という人もモチベーションが上がります。
私の場合は、エプソムソルト(マグネシウムの入浴剤)を入れています。マグネシウムには筋肉を弛緩、リラックスさせる効果があるため、疲労回復にはうってつけ。また、神経の興奮を抑え、睡眠を深める効果も期待できます。
マグネシウムは、体に不足しやすいミネラルであることが知られていて、約60%の人がマグネシウム不足というデータもあります。マグネシウムは食事を通しての吸収が悪い一方で、経皮吸収(皮膚からの吸収)されやすい傾向があるため、入浴剤として使用するのが効果的といえるでしょう。
実際に、エプソムソルトを使って入浴すると、翌朝、疲れがスッキリとれていますし、眠りもすごく深いことを実感します。ヘビーな疲れも1日で回復できますので、私にとって旅行の必須アイテムになっています。
また、炭酸は血流を改善するので、炭酸系入浴剤もおすすめ。自分のお気に入りの入浴剤が見つかると、入浴が「最高のエンタメ時間」に変わります。
■(5)闇風呂
「闇風呂」がSNSで盛り上がりを見せています。
闇風呂とは、風呂の電気を消して暗い状態で入浴すること。完全に真っ暗だと危険なので、キャンドルを灯すことが多いのですが、そうすると、いつもの浴室が非日常感に満ちた幻想的な雰囲気に変わります。
我が家の浴室はすりガラスになっているので、浴室の電気を消して脱衣所の電気をつけています。ちょうどいい薄暗さになって、気持ちが落ち着いてくるのを感じます。
人間の脳は周りが明るいと興奮し、暗いとリラックスします。入浴自体にリラックス効果があることは先述しましたが、薄暗い状態で入浴すると、リラックス効果がより高まることに加えて、目の疲れもすごくとれるのです。
私が闇風呂に入るときは、目薬をさし、数分間、目をつぶるのが好きです。目の疲れがとれて、チョー気持ちいいのです。
寝る前の2時間は、薄暗い場所で過ごすことが推奨されます。それによって睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が促進されるからです。
職場やコンビニのような明るい場所にいると、脳は「昼」と勘違いして、メラトニンを抑制し、眠気を吹き飛ばしてしまいます。浴室も意外と照明が明るくなるように設計されているので、せっかく「寝る90分前入浴」をしても、睡眠にマイナスの影響を与え、眠気を催しにくくするおそれがあります。そうならないためにも、闇風呂はおすすめの入浴法といえるでしょう。
今回紹介した入浴法を知っていると、風呂に入っている時間は変わらないのに、より効果的に疲労回復ができるはずです。ぜひ、毎日の生活に取り入れてください。
かばさわ・しおん
樺沢心理学研究所代表。1965年、北海道札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒。YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで、累計60万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動