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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』 成人の30人に1人…「ギャンブル依存症」の恐ろしさ

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.06.06 06:00 最終更新日:2024.05.12 06:22

樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』 成人の30人に1人…「ギャンブル依存症」の恐ろしさ

「ギャンブルにハマりやすい遺伝子」が存在する!?(イラスト・浜本ひろし)

 

 山口県阿武町で新型コロナ対策関連の給付金4630万円を同町の24歳男性に誤って振り込んだ件に関して、山口県警は5月18日に電子計算機使用詐欺の疑いで田口翔容疑者を逮捕しました。

 

 田口容疑者は誤送金されたお金を全額オンラインカジノに使ったと供述しているという報道がされました。しかし、後に阿武町が4299万円あまりを確保できたと明らかにし、田口容疑者が一時的にお金をプールしていただけではないかという疑いも出ています。

 

 

 このように、現時点(5月25日)で事件の詳細は不明ではありますが、誤送金されたお金と知りながらオンラインカジノに使ったという視点に立てば、なぜ、田口容疑者はそのような行為に及んだのか? 「返金しよう」という良心はなかったのか? 絶対にバレるのに、なぜそんな馬鹿げた行動に走ってしまったのか? さまざまな疑問が湧いてきます。あなたも、この事件に多くの疑問を持っているのではないでしょうか。

 

 田口容疑者はパチンコにどハマりしていたという報道もあり、「ギャンブル依存症」が疑われます。

 

 実際にそうだとしたら、精神科医の立場からすると、彼の行動にひとつも疑問は感じません。ふだんからオンラインカジノを利用していないと、そこでお金を使おうとはふつう思わないでしょう。

 

 こうした事件が起きた場合、個人のことを詮索したり、攻撃しても意味がないと思います。それは警察や司法にまかせればいい。そこから私たちの生活に生かせるような知見を導き出すことのほうが、はるかに有益でしょう。

 

 そこで今回は、ギャンブルをはじめとした依存症について、その予防策なども含めてお伝えします。

 

■ギャンブル依存症とは?

 

 ギャンブル依存症について聞いたことはあるかもしれませんが、くわしく知っているという方は少ないでしょう。「知識がない」状態だと、自分がそうとは気づかぬままに、依存症に陥ってしまう危険もあります。転ばぬ先の杖という言葉があるように、「知っている」だけで予防につながることもあるのです。

 

 ギャンブル依存症(精神医学用語では「ギャンブル障害」)とは、ギャンブルに極度にのめり込むあまり、自制ができなくなって、社会生活、日常生活に支障をきたし、治療が必要な状態のことをいいます。

 

 具体的な症状としては、

 

■常にギャンブルのことばかり考えてしまう
■興奮を求めて賭け金が増えていくしかく
■ギャンブルをやめよう、回数を減らそうとしてもうまくいかない
■ギャンブルをしていないと落ち着かない
■負けたお金をギャンブルで取り返そうとする
■ギャンブルのことで嘘をついたり借金をしたりする
■借りたお金をギャンブルに使ってしまい、返せなくなる
■ギャンブルのために仕事ができなくなる

 

 などが挙げられます。

 

■30人に1人がギャンブル依存症?

 

 厚生労働省がギャンブル依存症の実態把握のためにおこなった調査(2018年)によると、生涯でギャンブル依存症が疑われる状態になったことがある人は、成人の3.6%にのぼると推計されました。

 

 この数字を国勢調査のデータに当てはめると、約320万人に相当します。つまり、成人の約30人に1人が、過去から現在にかけてギャンブル依存症になった疑いがあるということです。

 

 ちなみに、直近の1年間にギャンブル依存症が疑われる状態だった人は0.8%で、それは約70万人に相当する数字です。

 

( 週刊FLASH 2022年6月14日号 )

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