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樺沢紫苑の『読む!エナジードリンク』科学的データに基づく「3つの新型コロナ対策」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.08.15 06:00 最終更新日:2022.08.15 06:00
7月28日、東京都の新型コロナウイルスの新規感染者数は一日4万人を超え(4万406人)、過去最多を記録しました。また、日本全体の新規感染者数は1週間で約97万人(7月18日~24日)となり、世界で最多となりました(WHO調べ)。
こうした報道を受けて、私自身は「なんの心配もしていない」といってはいいすぎですが、一喜一憂はしていません。それは、科学的データに基づく新型コロナ対策をしっかりとっているからです。
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それは、自分の意志で今日からでもすぐに実行でき、しかも、お金もほとんどかからない新型コロナ対策です。そこで今回は、それを3つ紹介することにしましょう。
■(1)7時間以上の睡眠
あなたは一日何時間眠っているでしょうか? コロナ感染を恐れる人が今すぐすべきことは、「7時間以上の睡眠」です。
コロナ禍が起きる以前から、睡眠不足の人は風邪にかかりやすいことが知られていました。カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究で、睡眠時間が6時間未満の人は十分な睡眠(7時間以上)をとっている人に比べて、風邪にかかる確率が4.2倍高いという結果が出ています。これは、睡眠時間を削るとウイルスに対する免疫力が著しく低下することを意味しています。
コロナ禍以降は、それに関する研究も多数おこなわれています。アメリカ、イギリスなど6カ国の医療従事者約3000人を対象にした研究では、睡眠時間が1時間増えるごとに、感染率は12%低下することがわかりました。つまり、5時間睡眠を7時間睡眠に改めると、コロナ感染率が24%も低下するほどの効果が得られるわけです。
また同研究によると、入眠障害(布団に入って30分~1時間以上眠れない)、睡眠維持が困難、睡眠薬を週3日以上服用しているなど、睡眠の問題を3つ以上抱える人は、感染率が1.88倍に増えたというのです(※1)。
さらに、睡眠とコロナ感染の経過について調べた7つの報告(2022年7月)を統合・分析した研究によると、コロナ感染前に睡眠の質がよいグループは、対照群と比べて、死亡率が43%、入院率(重症化率)が36%低いという極めて高い効果が報告されています(※2)。
これらの研究の多くは、6時間未満を睡眠不足、7時間以上を十分な睡眠としています。つまり、7時間以上の質のよい睡眠をとることで、コロナに感染するリスクは軽減し、仮に感染したとしても、重症化や死亡という事態にはなりにくいことがわかります。
■(2)一日20分以上の運動
「英国スポーツ医学ジャーナル(British Journal of Sports Medicine)」誌に掲載された、運動量とコロナ感染についての研究では、運動不足群(週10分以下の運動)は活動群(週150分以上の運動)に比べ、入院率は2倍以上、ICU使用率(重症化率)は1.73倍、死亡率は2.49倍という結果が出ました。さらに、運動不足群との比較では、基礎疾患(糖尿病、高血圧、心臓血管疾患、がん)や肥満、喫煙のほうが死亡リスクが低くなったのです(※3)。運動不足で死亡率約2.5倍というのは、ショッキングな数字ですね。
基礎疾患がある人は、コロナの感染率が高いことに加え、重症化、死亡リスクも高いことはもはや常識です。しかし、「自分は、高齢者じゃないし、糖尿病でも高血圧でもない。タバコも吸わないので、感染や重症化の心配はない」という人も、この結果を見ると、まったく安心できないことがわかります。つまり、日ごろ運動をしていない人は、基礎疾患のある人よりもコロナに弱いのです。
こうした海外の研究結果を受けて、厚生労働省のホームページにも、最近「身体不活動といった生活習慣がある方も重症化しやすい」との旨が追記されました。
運動不足は、コロナの重症化や死亡リスクを高める。では、しっかり運動すれば、コロナのリスクを減らせるのでしょうか? 答えは、イエスです。韓国の7万6395人を対象とした大規模な追跡研究では、有酸素運動と筋トレの両方を含む身体活動が、新型コロナの感染、重症化、死亡リスクの大幅な低下につながることがわかりました(※4)。
コロナに限らず、「一日15分程度の運動で寿命が3年伸びる」という研究があります(台湾の国家衛生研究院が41万6175人を対象にした調査)。このように運動は健康にものすごく役立ちます。逆に運動不足は、生活習慣病をはじめ、認知症やうつ病、自殺などのメンタル疾患のリスクを著しく高めるのです。
コロナが怖いから、外出しない、散歩もしない、運動もしない……。こうしたことは、コロナから自分を守っているように見えて、実際はコロナ感染率、重症化率、死亡率のすべてのリスクを高め、さらにコロナ以外の病気になる確率も高めることで、寿命を縮めている。まさに「運動不足は、百害あって一利なし」なのです。
どうしても外出するのがいやなら、家のなかでも運動することは可能です。コロナ対策の一番の近道、それは運動だということを、しっかり理解してください。