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【世界最悪の旅】ブルキナファソ500km移動するのに2泊3日も
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2017.05.28 20:00 最終更新日:2017.05.28 20:00
西アフリカといえば、キリスト教系の女子生徒が大量に誘拐されたり、ナイジェリアのバザールでテロが起きたりと、イスラム系武装勢力による不穏な事件が後を絶たないが、ブルキナファソという国も、その近くに位置する小国である。
この国も、ご多分に漏れず、何年かおきにクーデターで政権が入れ替わる破綻国家である。外務省の地域情報によると、
1960年 独立
1966年 軍事クーデター
1980年 軍事クーデター
1982年 軍事クーデター
1983年 軍事クーデター
1987年 軍事クーデター
……まさに「クーデター祭り」。最後のクーデターでコンパオレ氏が大統領となり、2014年まで政権を維持した。実に27年もの独裁政権である。
反政府ゲリラと対峙しているため、国道は厳しく管理されており、10キロおきに検問がある。乗客は検問のたびに降ろされ、全ての荷物の検査が行われる。
検問は早くて30分、遅くて2時間近く待たされる。このため都市から都市への移動は、信じられないほど時間がかかるのだ。筆者がこの国を訪れたのは1990年だが、隣国ニジェールの首都ニアメから、この国の首都ワガドグーまでの500キロ余が2泊3日もかかった。
途上国では普通のことかもしれないが、要するに「翌日到着する」などという見通しは、運ちゃんも乗客も、私以外の誰一人として、立ててはいないのである。
バスは遅々として進まず、案の定、途中で日が暮れた。どこまで走るかは運ちゃん次第である。彼が眠くなったときが、すなわち停滞する時間となる。
午後9時くらいに突然バスが止まった。そこは何もないサバンナの真ん中である。乗客は三々五々とバスを出ていった。
朝になってわかったことだが、彼らはバスの車体の下で寝るのであった。そうとは知らぬ筆者は、木製の硬いベンチの如き、しかも背もたれはきっちり90度の座席で、考えられうる限りの悪態をつきながら寝た。
翌早朝からバスは動き始めた。朝は快適である。なにしろ涼しい。軍隊も寝ぼけてるのか、検問も適当でスイスイ過ぎていく。しかし昼が過ぎ、午後になっても、バスは目的地のワガドグーには着かない。
遂に日が暮れた。そして、ああ、なんと言うことか。この日も野宿となったのである。2昼夜まともな食事ができなかったが、夜になって村の子供が売りに来た豚肉の炭火焼きが、この世のものとは思えぬほどに美味であった。
ワガドグーに着いたのは3日目の早朝のことである。この町にはゲストハウスのようなものはなく、カトリック修道院の寄宿舎で、まさにぶっ倒れるようにしてベッドに潜り込んだ。
起きるとまだ明るかった。いやーよく寝たわいと思って腕時計を見ると朝の6時である。しばらく悩んでみて、ようやくその日が翌日の朝であることを知った。なんと24時間、昏々と寝たのであった。
(旅行ライター・中山茂大)