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里見女流五冠が編入試験2連敗 先輩・林葉直子が「悩むより青唐辛子を食べて!」と“激辛”アドバイス
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.09.23 15:06 最終更新日:2022.09.23 15:08
女性初の棋士になるための編入試験五番勝負に挑んでいる、里見香奈女流五冠(30)。9月22日、東京・千駄ヶ谷の将棋会館で第2局がおこなわれ、里見女流五冠は対戦した岡部怜央四段(24)に132手で敗れた。
里見女流五冠は初戦に続いて連敗し、合格のためには3連勝するしかなくなった。鋭く攻めるスタイルは出身地にちなんで「出雲のイナズマ」と呼ばれるが、今回は「大事なところで間違えてしまった」と対局後に語った。
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崖っぷちに追い込まれた里見女流五冠の逆転合格はあるのか? 将棋ライターの松本博文氏が解説する。
「第1局は、里見さんが少しずつリードを広げられて敗れました。野球でたとえるなら、相手チームのエースピッチャーのできがよすぎて、完封負けを喫したというところ。そういう負け方はある意味、仕方がなく、切り替えができます。
しかし第2局は、里見さんがあともう少しで勝ちというところまで持っていきながら、終盤でのワンエラーが逆転につながってしまった。こういう負け方は、えてしてあとに響きます。ちょっと流れが悪くなってしまい、残る3人の若手棋士もみな手強い。星取りからも客観的に見れば、合格の可能性はかなり低くなってしまったといわざるを得ないでしょう。
しかし、里見さんは“終盤力”の持ち主。数々の強敵を相手に、鮮やかな逆転劇を演じてきました。将棋界の五番勝負では、2連敗からの3連勝もしばしば起こりますし、里見さんもタイトル戦でその経験はあります。カド番の第3局をしのげば、奇跡は起こるかもしれません」
先輩の林葉直子元女流名人は、今回の対局をこう総括する。
「里見さんは第1局に続いて、今回も得意の中飛車(飛車を5筋に振る戦法)でした。中盤は里見さんのほうがやれるかな、って思ってたんだけど……。優勢だったのに、相手からの攻めを受け間違えたのかな。終盤で逆転されちゃいましたね。相手の岡部さんは、手が震えてたように見えました。大きな対局だから、緊張してたんでしょう。
やっぱり相手に(盤上隅で玉を固める)穴熊にされると、どうもいやなんだよね。固められちゃうと勝ちにくいから。私も昔は中飛車はよく指していて、穴熊にされるのがいやだからすぐに動いていって。里見さんも、相手が穴熊に入ろうとする瞬間を狙っていければよかったんだろうけど、岡部さんがうまく指したんでしょうね。
里見さんはこれで2連敗。もうあとがなくなってしまったけれど、気を取り直して次を頑張ってもらいたいです。
里見さんは女流で五冠を持っていて、対局数が多いんですね。私のころは対局が少なくて、羨ましいなと思います。でも忙しすぎるのも大変ですね。
また里見さんは、これまで公式戦でたくさんの男性棋士に勝っていて、それをもう、誰もなんとも思わない。私のころは時代が違って、女の子だった私に負けた男の子が『恥だから』って、勝手に坊主頭になっちゃったりして」
そして、気持ちを切り替えるための一風変わったアドバイスも……。
「負けたらさ、悩むじゃない。でも悩むよりは、青唐辛子を食べて! それが私からのアドバイス(笑)。青唐辛子って辛すぎて、悩むヒマがなくなるから。それからヨーグルトとか、甘いパイナップルジュースとかを飲んで、あとは受けの達人の大山康晴先生(15世名人)の棋譜を並べる。
里見さんは強いんだから、自信を持ってほしい。男性の先生に勝ったときのいい将棋を思い出して、元気を出すのもいいんじゃないかな」
勝つしかなくなった次戦は、大山15世名人と同じ岡山県倉敷市出身の狩山幹生四段(20)と対局する。
( SmartFLASH )