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刑務所内も値上ラッシュ パンツ1210円、石鹸151円、ノート317円…無期懲囚人が嘆く「食材の質も落ちました」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.05 21:45 最終更新日:2022.10.05 23:28
10月に国内の値上げラッシュはピークを迎える。食品・飲料や日用品、電気代やガス代などのインフラといった、あらゆるものの値段が上がる。年内の値上げ品目数は累計2万を超え、値上げ率は平均で14%に達する勢い。庶民の悲鳴は途切れるはずもない。
“シャバ”の混乱同様、じつは刑務所も値上げの煽りを受けているという。某刑務所に入っている無期懲役囚は、本誌記者との手紙のやり取りの中で以下のように嘆く。
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「10月から約100品目が値上げされました。パンツ(グンゼLLトランクス)1枚1210円です。そのほか、シャツ(グンゼLL半袖)1012円、靴下385円、タオル308円、ミューズ石鹸151円、トニックシャンプー367円、システマハブラシ330円、単3電池330円(マンガン4本)、コクヨノート317円……もともと気軽に購入できるような収入があるわけでもないので困りました」
刑務所の作業の報奨金(給料)はじつに少ない。領置金(差し入れなどのお金)が十分にあれば別だが、ほとんどの囚人は報奨金で日用品を購入する。報奨金は、10等工から1等工まで(業種によっては3等工まで)の階級によって額が変わる。
「1日8時間30分労働で、時給にして10等工は7円70銭スタートです。9等工9円20銭、8等工12円30銭、7等工16円30銭、6等工20円90銭、5等工23円50銭、4等工29円30銭、3等工35円40銭、2等工43円80銭、1等工で55円50銭です。
10等工から9当工に上がるには1カ月、8等工に上がるには3カ月と、真面目に働く必要があります。昇級にしたがって時給は上がりますが、元が少ないですからね。生活評価でマイナスがあると昇進も遅れます。いま私は1等工で、ここまで上がるのに約1年かかりました。
1等工になって機械を扱う仕事や汚物処理、休日出勤(配食・食事を分けて配る業務)などをすると割増があります。マックス9割増まで上がりますが、懲罰を食らうとまた10等工からやり直しです」
1等工まで上り詰めて、割増なしだとだいたい月に6000円から7000円の収入になるという。法務省の2011年の発表では全等工の月平均約4700円といわれるので、7000円は高給取りともいえる。
「ただ、月給すべてが使えるわけではありません。日用品や衣類、本に使えるのは、月給の半分。だから3000円前後ですね。日用品が値上ると、本やお菓子はなかなか買えなくなります。ほとんどの人がお菓子を買ってますから、日用品を切り詰める人も出てくるかもしれません。甘いものは欲しくなりますから……」
ニュースや雑誌などで世間の情報はある程度入ってくるので、刑務所内の値上げも仕方ないことだと彼は思っているようだ。
「暗いニュースばかりですね。楽しみなのは、大谷翔平選手の活躍くらいでしょうか。コロナに戦争に値上げ……世の中は大変なことになっていると思います。刑務所内でも食材の質が変わったと言っている人がいますね。じゃがいもがパサパサになったと文句を言っている人がいました。私は気づきませんでしたが、そういうのに敏感な人はけっこういますね。
今までは『シーブリーズ』のフェイス&ボディシートが購入できたんですが、取り扱い中止になったんです。生産中止になったわけでもないだろうに、どうしてだろうと思っていたら、アルコールを含んでいるからだそうです。シートをなめたり、吸ったりした囚人がいたんでしょうかね。今のボディシートはノンアルコールになりました。
『罪を犯してここに来たのだから、イヤなら悪いことをするな』。よく言われることですし、そのとおりです。衣食住がタダだから刑務所に入りたいと罪を犯す人がいますが、絶対に来ないほうがいいです。お金がなくて事件を犯しても、出所してまた生活に困るという話はよく聞きますから」
いま彼は、値上げした1210円のトランクスを身につけて犯した罪を悔い、贖罪の日々を送っているという。
( SmartFLASH )