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コロナワクチン電話受付「マニュアル以外の発言不可」「30分続く鬼クレーム」100日働いたらもうヘトヘト体験記

ライフ・マネー 投稿日:2022.12.10 11:00FLASH編集部

コロナワクチン電話受付「マニュアル以外の発言不可」「30分続く鬼クレーム」100日働いたらもうヘトヘト体験記

 

 新型コロナウイルス「第7波」が拡大する前の2022年6月某日から、ワクチン接種予約センターで働き始めた人物に話を聞くことができた。場所は中核都市C市。時給は1300円と悪くない。勤務時間は朝9時から17時までで休憩は60分。週5日で派遣社員として働き始めたが、現場はてんやわんやでーー。

 

 勤務前、センターのロッカーは電話を受ける部屋と別室にあり、日ごとに変わると聞かされた。自分のロッカーを確認し、手荷物を入れる。電話予約センター入室時はスマホの持ち込みはNG。筆記用具と持参の飲み物を透明な手提げ袋に入れて入室した。

 

 

 驚いたのは、マニュアルの分厚さだ。A4で100ページ以上。オペレータ用のマニュアルが1人1冊配布される。すべては覚えられないが、マニュアルにある以外の内容は決して回答してはならないため、それぞれが自分のマニュアルに書き込みをしたり付箋を貼ったりして工夫しながら内容を把握する。

 

 一般常識でわかるような内容や、当該自治体のホームページに掲載してある内容でも、マニュアルに書いてないものは回答してはならない。これは終始、徹底していた。

 

 ワクチンは9時から受け付けが始まるため、8時45分には予約センターに入室する。自分の座席は毎日変わるため、まず自分の座席を確認する。前回の勤務時から変更点があれば机の上に変更点が書かれているので、チェックする。

 

 9時前にセンター長から本日の注意点などの説明を受け、9時になると100回線ある電話がいっせいになり始める。

 

「お電話ありがとうございます。C市コールセンターでございます」

 

 1予約あたり、かかる時間は約10分。7時間勤務なので60分×7=420分で、1日42件は受け付けられるはずだが、実際にできるのは35件ほど。ただ、閑散期は1日3件なんて日もあった。そんなときは、オペレーター同士で1日中おしゃべりすることになる。

 

 ワクチン接種の予約がメインのはずだが、コロナに関するさまざまな電話がかかってくる。

 

「熱があるのだが検査キットがほしい」
「予約した病院に駐車場はあるのか」
「病院までタクシーで行くがタクシー代は出るのか」
「コロナワクチンは接種した方がいいのか」
「モデルナ、ファイザーどちらがいいのか」
「従来型とBA.1の違いは?」
「BA.1とBA.4-5との違いは?」
「副作用はないのか?」
「接種券が届かない、いつ届くのか」
「コロナに罹患したがいつからワクチン接種できる?」

 

 例をあげればキリがない。だが、マニュアルに書いてないことは答えてはいけない。

 

 コールセンターにはセンター長が1人。その配下に5、6人の管理者と呼ばれる担当者がいる。医師、看護師などの医療関係者は皆無だ。オペレーターは、マニュアルにない内容の電話が入った場合、この管理者を呼び、対応方法を確認する。うっかりオペレーターの知識で返答してはならない。

 

 管理者は慣れたもので、オペレーターの電話対応を見て、「マニュアル以外の電話だ」と察すると 即座にオペレーターの通話内容を別の電話で聞きに入る。万一、間違った返答をした場合、しそうな場合はいったん保留にさせて改善を図る。

 

 通話記録はすべて録音されているので嘘は通じない。「間違ったことは言ってません」と言っても通じない。センターに入りたてならまだ許されるが、何回も続くとマークされ、監視下に置かれる。席はおのずとセンター長、管理者の目の届くところに置かれることになる。

 

 オペレーターは圧倒的に女性が多く、8割ぐらいが女性だった。年齢層は幅広く、大学生から60過ぎの方までさまざまだ。

 

 10月から、健康保険・厚生年金保険がパート従業員にも拡大適用されることになり、退職者が続出した。派遣オペレーターは基本7時間勤務で短時間勤務はできないためだ。退職者が出たら、とにかく次を募集。どんどん入ってきてはやめていくのが日常の風景だった。1日でやめた人もいた。

 

 オペレーターにも、会話がたどたどしい人もいれば、しっかりしている人もいる。1件の予約を受けるのに15分、20分かかる人もいる。でも、なぜかたどたどしい人ほどやめることはない。

( SmartFLASH )

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