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寂しい夜もおまかせ?「恋人ロボット」台頭をめぐる賛否両論
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2017.06.24 20:00 最終更新日:2017.06.24 20:00
このところテロや大火災など、物騒なニュースが多いイギリスである。メイ首相も自信満々で臨んだ総選挙で過半数割れとなり、想定外の結果に意気消沈気味だ。
そんななか、イギリスの友人から面白い便りが届いた。何かといえば、ロンドンのゴールドスミス大学で「ロボットとの愛とセックスに関する国際会議」が開催されたというのだ。
この会議を主催した同大学のケブリン博士曰く「近い将来、ロボットは我々の愛の対象になる。ロボットと人間の見分けはつかなくなるだろう」。
近年、感情や知性を備えたロボットの研究は猛烈な勢いで進化を遂げている。となれば、理想のパートナーに相応しいサイボーグが登場するのも十分あり得る話だろう。そういえば、中国ではロボットと結婚した男性エンジニアが話題になったばかりである。
ロンドンの国際会議の会場では多くのモデル型ロボットが展示され、参加者や来場者は目を見張ったらしい。言うまでもなく、産業用ロボットに限らず、この分野では日本の技術は世界的に評価されているため、日本の業界がどう反応するのか、大いに気になるところである。
実は、スペインとスイスではすでに女性ロボットが男性客を接待するカフェやバーが開店している。それどころか、売春が合法化されているスイスでは、ロボット売春婦が話題をさらうまでになっているとか。この調子で行けば、人間に代わって「どんなリクエストにも喜んで応じるロボット」がお客の相手をするのも時間の問題だろう。
こうした技術進歩を受け、今後も愛情ロボットを巡る環境は急ピッチで進んでいくだろう。というのも、世界中でセックス・パートナーを得られない人が急増しているからだ。
チェスの世界チャンピオンで『ロボットとの愛とセックス』の著作で知られるデービッド・レビイ氏はこう語っている。
「セックス・ロボットは大ブームになる。なぜって、世の中には理由の如何を問わず、生身の相手と親密な関係を作れない人間が何千万もいるからさ」
実際、国連の一翼を担う世界保健機構(WHO)でも「性的パートナーを見つけられない人が増加」としているのだ。
とはいえ、こうした動きに警鐘を鳴らし、反対運動を推進する研究者もいる。例えば、ドモントフォート大学のリチャードソン博士などはその急先鋒で、「セックス・ロボットは社会的に有害だ。女性や子供を蔑ろにする結果をもたらす」と主張し、セックス・ロボット反対キャンペーンを展開中だ。
このロンドン発のロボット論争は欧米社会では大いに盛り上がっているようだが、日本にはどんな形で波及してくるのだろうか。(国際政治経済学者 浜田和幸)