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「学校」に馴染めない児童が通う「自由を尊重する」小学校が増えている!自然のなかで生徒3人が寮生活、幼小中の混在教育も

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.01.03 11:00 最終更新日:2023.01.03 11:00

「学校」に馴染めない児童が通う「自由を尊重する」小学校が増えている!自然のなかで生徒3人が寮生活、幼小中の混在教育も

 

「校内暴力や非行」「管理教育(教員による管理強化)」「いじめ」「登校拒否や不登校」「学級崩壊」といった、「学校」に関わるさまざまな課題が社会問題化したのは1980~1990年代のことである。

 

 こうした状況を背景にして、平成時代以降に設立された私立小学校には、自然体験や社会体験を基本とする生活や、学習に重きをおくなど、当時の「学校」に対する既成概念にとらわれずに(むしろアンチテーゼとして)、児童の個性を尊重するような「自由な」学校も目立つ。

 

 

 ここでいう「自由な」は「好き勝手」を表すのではなく、「自治を通じた権利や自律の尊重」を意味している。

 

 その草分けともいえるのが、きのくに子どもの村学園(和歌山県橋本市)だ。同学園が1992年に和歌山県に設立したのが、きのくに子どもの村小学校である。

 

 同学園のホームページによれば「戦後はじめて学校法人として認可された自由な学校」であり、「どの子にも、感情、知性、人間関係のいずれの面でも自由な子どもに育ってほしい」という願いを学園の基本方針として、多くの児童が寮生活を送りながら学んでいる。

 

 同学園では、その後も同様の基本方針のもと、かつやま子どもの村小学校(福井県勝山市)、南アルプス子どもの村小学校(山梨県南アルプス市)、北九州子どもの村小学校(福岡県北九州市)、ながさき東そのぎ子どもの村小学校(長崎県東彼杵郡)を相次いで設立している。

 

 他にも、平成時代以降、NPO法人を母体としたシュタイナー学園初等部(神奈川県相模原市)や北海道シュタイナー学園いずみの学校初等部(北海道虻田郡)、東京シューレ江戸川小学校(東京都江戸川区)などが設立されており、「学校」に馴染みにくい児童も含めて、児童の個性を尊重した教育を行っている。

 

 こうした小学校の設立を後押ししたのが、地域の活性化や経済発展を進める施策の一環として、2003年に施行された「構造改革特別区域法」である。

 

 目的をもった事業を行うために妨げになっている法律制度を限定された区域で緩和するものであり、株式会社やNPO法人でも学校設置者として認められ、学校教育法第1条に規定する学校(いわゆる「一条校」)を設立することが可能となったのである。

 

 教育課程を弾力化する特例の適用により、不登校児童などを対象とした教育を行うNPO法人による小学校の設置も進められている。

 

 自然豊かな地域で少人数の全寮制教育を行う小学校も多く、小規模の学校が目立つ。例えば、どんぐり向方小学校(長野県下伊那郡)は3名、吉備高原のびのび小学校(岡山県加賀郡)は9名、グリーン・ヒルズ小学校(長野県長野市)は22名の在学児童数である(『2022年版全国学校総覧』)。

 

 こうした小学校では「ペーパーテスト」「運動」「制作(製作)」といった方法ではなく、「学校見学や体験入学」「面接」を主とする独自の方法により、就学予定者本人や保護者側と学校側が相互に理解を深めた上で、入学者を受け入れている。

 

 個々の学校の特徴を生かして、就学予定者の入学だけでなく、他の小学校からの転入生の受け入れも積極的に行っている。

 

 幼小中を混在した自己主導の学び・協同の学び・探究の学びの展開を目指し、2020年に初の私立の義務教育学校として新設された軽井沢風越学園(長野県北佐久郡)では、2022年度入学者選考で5.5倍という高倍率となり、注目を集めはじめている。

 

 私立小学校についての偏ったイメージを固定的にもつことを避けるためにも、こうした小学校の実像について、今後、より注視していくことが必要ではなかろうか。

 

 

 以上、望月由起氏の近刊『小学校受験~現代日本の「教育する家族」~』(光文社新書)をもとに再構成しました。小学校受験について多面的な研究を続ける教育学者が、私立・国立小学校受験の現状を、当事者の声も交え具体的かつリアルに報告します。

 

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