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「都会風を吹かすな」の福井県池田町、過去には「移住してはいけない理由」を公開…同町に意図を聞いた

ライフ・マネー 投稿日:2023.02.11 11:00FLASH編集部

「都会風を吹かすな」の福井県池田町、過去には「移住してはいけない理由」を公開…同町に意図を聞いた

池田町を走る聖火ランナー(2021年、写真・共同通信)

 

 福井県池田町の広報誌に、移住者への提言として示された『池田暮らしの七か条』が物議を醸している。《都会風を吹かさないよう心掛けてください》《品定めされることは自然》といった挑発的な言葉が並び、「広報誌の表現として不適切だ」と批判を浴びている。

 

 池田町は人口約2300人。県内外からの移住者は年間20人ほど。この『七か条』を抜粋して要約する。

 

 

●池田町の風景や生活環境の保全、祭りなどの文化の保存は、共同作業によって支えられているので、参加協力ください。「面倒だ」「うっとおしい」と思う方は、池田暮らしは難しい

 

●今までの自己価値観を押しつけないこと。また都会暮らしを地域に押しつけないよう心掛けてください。これまでの都市暮らしと違うからといって都会風を吹かさないように

 

●プライバシーがないと感じるお節介があること、また多くの人々の注目と品定めがなされていることを自覚してください。どんな人か、何をする人か、品定めされることは自然です

 

●濃い人間関係を積極的に楽しむ姿勢を持ってください

 

 この『七か条』は2022年12月に制定されたものだが、2月8日頃にSNSで話題になると、賛否の声が寄せられた。

 

《地元住民の本音がわかる広報はどんどん出して欲しい》

 

《都会風を吹かさない、それは非常に理解できる》

 

《誘致するなら逆に都会風を理解する必要がある》

 

《この町への移住をあきらめなさいと宣言したようなもの》

 

 全国的に広がった『七か条』の反響について、池田町の担当者は「(役所にも)賛否両論、ご意見をいただいています。移住された方や町民の方からのお問い合わせというのはほとんどなくて、おもに県外、町外の人たちですね」と語る。

 

 あらためて、この『七か条』がなぜ作られたのかを問うと、「池田町にある33の区長がまとめたもので、移住される前に、池田町の現状を知ってもらうためです。『七か条』は全体的なものをあげていますが、各集落によってさらに細かいことが書かれています。内容はそれぞれの集落によって異なります」とのこと。

 

『七か条』は、池田区長会が制作したものだが、これとは別に、池田町役場は『池田に移住してはいけない10の理由』を公式サイト「いけだ農村観光協会」で公開していた(現在は削除)。

 

 全部で10項目あり「買い物は不便」「外食も難しい」「総合病院はありません」「虫も多すぎる」といった「田舎あるある」のような軽いノリで書かれているのだが、先の『七か条』に共通する注意点のようなものが記されていた。

 

●田舎文化が濃密すぎる!

 

 同じ集落の人なら、どこの家に誰がいるのか、年齢や健康状態まで把握しているくらいの濃密さ。顔がわからない人が来たら、どんなSNSよりも早く広まります

 

●スローライフなんて大嘘だ!

 

 都会より地域の活動が濃密で、子供がいたらPTA活動やスポーツ少年団活動があるし、気がつくと休日なのに家にいなかったな……ということが多い

 

 やはり、住民と移住者の間に大きな溝があり、トラブルを回避するために作られたのだろうか? 同町の担当者は「価値観のギャップを埋めるために作られたものではない」と否定する。

 

「見出しを『移住してはいけない』にしたのは、目に止まりやすくするためです。『池田町に住むとしあわせな理由』も紹介していました。意図としては『七か条』と同様で、池田町の特徴をさまざまな言い方でお伝えしたかったのです。『見出しがそぐわない』という理由で2~3年前に公式サイトから削除されました」(同)

 

 こうした「田舎暮らし」の現実を知ることが、スローライフの第一歩なのだ。

( SmartFLASH )

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