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藤井聡太王将初防衛、史上最年少六冠に王手…“史上最強” WBC侍ジャパンには「野球は詳しくなくて」

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.03.14 16:00 最終更新日:2023.03.14 16:00

藤井聡太王将初防衛、史上最年少六冠に王手…“史上最強” WBC侍ジャパンには「野球は詳しくなくて」

藤井聡太王将(写真/日本将棋連盟)

 

 将棋史を代表する2人の棋士がタイトル戦で初めて相まみえる。そんな夢のような舞台に、ついに幕が降ろされた。

 

 藤井聡太王将に羽生善治九段が挑戦する第72期ALSOK杯王将戦七番勝負。第6局は3月11日、12日におこなわれ、88手で藤井が勝ち、4勝2敗で王将位初防衛を達成した。

 

 

 記者会見で、藤井は次のように語っていた。

 

「内容的にも非常に難しい将棋が続いたシリーズだったと思うので。本当に大変な将棋ばかりだったと思うんですけど。そのなかで、なんとか防衛という結果を出せて、やはり嬉しく思っています」

 

「長時間の対局で、時間を使って考えて指すなかで、やっぱり改めて、羽生九段の強さを感じるといったところは大いにあったのかなというふうに思います」

 

 勝っておごることなく、そして対局相手へのリスペクトの言葉も忘れない。以前から変わることのない、これまでどおりの藤井の姿だ。まだ20歳ではあるが、盤上だけではなく、盤外での言動も完璧に近い。

 

 王将戦は主催紙の「スポーツニッポン」に勝者の面白い写真が載せられるのが恒例だ。過去の羽生がそうであったように、藤井もまた、いろいろな注文に応じている。

 

 今回、藤井は対局が終わったあと、和服のままボクシンググローブをつけ、チャンピオンベルトを肩にして、桜吹雪の舞うなか、ガッツポーズをしている姿を撮影されていた。

 

 翌13日に刊行されたスポニチには、WBCで特大ホームランを放った大谷翔平選手、東日本大震災から12年を迎えた宮城でフィギュアスケートのショーをおこなった羽生結弦とともに、藤井の写真が大きく掲載されている。現在20代の3者は、現代日本を象徴する若きスーパースターと言ってよさそうだ。

 

 対局翌朝の記者会見で、藤井はWBCについて聞かれていた。

 

藤井「すみません、ちょっと、野球はあまり詳しくなくて申し訳ないです」

 

記者「藤井さんもそろそろ参戦意欲はありますか?」

 

藤井「学校の体育の時間でソフトボールをやったことがあるんですけど、ちょっと、打てたためしがないので、そちらは見るだけにしようかなと思います」

 

 藤井は苦笑しながら、そんなやり取りをしていた。昨年の竜王戦七番勝負の頃には、サッカーのワールドカップにおける日本代表の活躍について尋ねられていた。藤井もいろいろと大変だ。

 

 1996年に羽生が史上初めて全七冠を制覇した頃、よくスポーツ紙の紙面を飾っていたのは、野球のイチロー選手や、競馬の武豊騎手だった。この3人のレジェンドもまた、現在も人々からのリスペクトを浴び続けている。

 

 結果的に敗退したとはいえ、今期王将戦七番勝負は、羽生の底知れぬ実力を再認識させられた舞台でもあった。藤井を相手に、七番勝負で第4局を終えた時点で2勝2敗だった棋士は羽生が初めてだ。

 

羽生「いろいろ(な戦型を)やってはみたんですけど。なんかもうちょっと全体的に、指し手の正確さというか、精度を上げないといけないなということを感じたシリーズでした」

 

 局後の検討はいつものとおり、和やかにおこなわれた。遠からず、藤井と羽生が再びタイトル戦で戦う可能性は、もちろん十分あるだろう。羽生には今後も、タイトル通算100期の期待がかかる。

 

 藤井はこれで五冠を堅持。八大タイトル戦では今年度、棋王位奪取の可能性を残している。そうなれば羽生以来2人め、そして史上最年少での六冠達成だ。

 

 年度が変わった4月からは名人戦七番勝負が始まる。ここも制すれば七冠に達する。

 

 そしてほかのタイトル戦でも防衛を続け、王座戦で挑戦、奪取となれば、年内にも史上初の八冠となる。ファンの関心は高まるばかりだ。その点について、藤井は八冠について、次のように答えていた。

 

藤井「そのように期待していただけるということはもちろん嬉しく思うんですけど。まだ自分としては全然意識するような段階でもありませんし。これまでどおり目の前の一局に全力を尽くしたいという意識でやっていければなというふうに思っています」

 

文・根岸慎吾

( SmartFLASH )

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