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北村義浩氏「マスクはパンツ」と訴えた感染症学者は収束予想的中も「感染者数は毎日発表を」【さらばコロナ禍・専門家を直撃!】
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.05.09 06:00 最終更新日:2023.05.09 06:00
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、ついに季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行。感染爆発期、ワイドショーに引っ張りだこだった専門家たちは今、何を語るのか。日本医科大学特任教授の北村義浩氏を直撃した。
メディアの調査・分析をおこなうニホンモニターは、2020年と2021年、タレント番組出演本数ランキングの番外編として、「新型コロナウイルス関連専門家」にも同様の格づけをした。北村氏は、2020年は出演187回で6位、2021年は236回で3位だった。
北村氏は一般国民にわかりやすい解説を心がけ、しばしば比喩を用いた。「マスクはパンツ。人前で取るな」は、とくに知られたフレーズで、“パンツ北村”との異名を取った。また、マスクやワクチンを「防弾チョッキ」にもたとえている。
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「弾丸が飛び交う戦場に丸裸では行かないでしょう? 防弾チョッキは着ますよね。でも、防弾チョッキも万能ではなく、隙間に弾が当たったら、下手をすれば死んでしまう。コロナワクチンも防弾チョッキです。ウイルスの盾になります。でも完璧ではないので、感染予防策の継続が不可欠でした」
感染力は低いが重症化しやすかった、第1波、第2波のアルファ株やベータ株がもたらした脅威が、国民に「ステイホーム」を促した。そして、感染力も強く重症化しやすかった第5波のデルタ株流行の時点で、国内のワクチン接種はかなり進んだ。
「やはり、ワクチンは自分だけでなく、社会全体を守るもの。感染しても症状は軽くてすむので、高齢者や基礎疾患の持ち主、医療従事者は打って正解でしたね。防弾チョッキは、今後もしばらく着たほうが無難。接種を定期的に続けるべきでしょうね」
慎重派と目されていた北村氏だが、2022年9月放送の『アッコにおまかせ!』(TBS系)に出演した際、「日本でマスクを外せるのはいつになるか」との質問を受けた。その問いに北村氏は、「マスクがいつ外せるかっていうのは、パンデミックがいつ終わるかっていうのとほぼ同じだと思うんですよね」とし、「いちおう、来年の春、4月、5月には収束するのではないかと思う」と述べた。
「予測は当たったことになりますね。現在の感染状況を見ると、5類への移行は適切でしょう。これまで毎日、発表していた感染者数を週1度にした点がいちばん大きな変化ですが、早くて1週間前の状態しかわからないため、『感染者が増加してきたから対策しよう』と思っていると、手遅れになりかねません。いまは保健所もパンクする状況ではないので、毎日、発表するほうがいいと思います」
感染者数の増減に一喜一憂していた日々からようやく解放されたと思いたいけれど、たしかにコロナ禍では、モニタリングの大切さを学んだ。もうしばらくは、刻々と変わる感染者数とつき合うべきなのかもしれない。
きたむらよしひろ
1960年生まれ 専門は感染症学、微生物学。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了、医学博士。国立感染症研究所、東京大学医科学研究所、中国科学院微生物研究所などを経て現職