医師・倉持仁氏　菅前首相と小池都知事に怒った院長は「コロナはまだ終わっていない」【さらばコロナ禍・専門家を直撃！】

「感染を疑ったら即検査を」と訴える倉持仁氏

　新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、ついに季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行。感染爆発期、ワイドショーに引っ張りだこだった専門家たちはいま、何を語るのか。

『Nスタ』（TBS系）への出演のため、2年以上スタジオ通いをした、栃木県宇都宮市にあるインターパーク倉持呼吸器内科クリニック院長の倉持仁氏を直撃した。

　倉持氏は、2021年のテレビ出演数は130回と、識者のなかでも第5位、2020年度は117回と8位だった。

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「最初のテレビ出演と同時期にTwitterを始めたんですが、経済重視派などのネトウヨに、しきりに攻撃されました。私がPCR検査にこだわる理由は、正式なデータを取るためと、変異株を調査するためです。政府の見解がことごとく外れたのは、コロナ禍があそこまで続くとはみていなかったからでしょう」

　倉持氏は、2021年3月には、参議院予算委員会公聴会に公述人として出席。そこでも検査体制拡充を訴えた。また、保健所の逼迫で、「患者が医療にアクセスできない状態が続いている」と指摘。2021年8月に『Nスタ』に出演した際は、菅義偉首相（当時）と小池百合子都知事に「2人とも至急、お辞めになったほうがいい」と、怒りを露わにする場面も。直後に「倉持先生」がTwitterのトレンド1位になった。

「感染者数がピークに達したことで、政府は入院対象を重症者らに限定。重症化リスクが低い中等症患者は自宅療養となり、その数が2万人を超えていた時期でした。なのに、酸素飽和度を測る機器だけ渡し、後はほったらかしでは、皆保険制度の放棄にもつながりかねません。パンデミックが始まって1年半たつのに、何も学んでいないと、さすがに腹が立ちました。じつはここへ来て、感染者数が微増しています。4月の当院のPCR検査274件のうち、陽性は75例で、率にして27.4％。3月は19％だったので、8％も増えました。いまはどこでもPCR検査ができるので、感染を疑ったら即、検査してください」

　5類に格下げ後も、「コロナはまだ終わったわけではない」と倉持氏は釘を刺した。

くらもちじん
1972年生まれ　専門は呼吸器内科。1998年、東京医科歯科大学で博士号取得。2015年に開業し院長就任。著書は『日常を取り戻すために必要なこと』（泉町書房）など

文・鈴木隆祐

( 週刊FLASH 2023年5月23日号 )