美しすぎるデザートがムダに…伊豆の温泉旅館「連絡なしバックレ」に困惑“非常識行為”への思いを聞いた

 

《コレ注文しておいて連絡なし不着って…許せんよホントに。》

 

　7月8日、Twitterに投稿された美しいデザートの写真が、4.2万いいね・9000RT（11日現在）と、多くの注目を集めている。投稿したのは、伊豆長岡温泉にある旅館「富嶽はなぶさ」の3代目当主・花房光宏さんだ。続くツイートには、こうつづられている。

 

《 ・心を込めて作った料理 ・時間を掛けて書いたプレート・準備していたメッセージカード・綺麗なお部屋 それらは自動的に準備されるのか？ 違うでしょ。 スマホで”予約”をタップした先には多くの人があなたを受け入れる準備をしている。》

 

【関連記事：中国、7億人感染報道でも「旅行して！」の愚…岸田首相には「入国禁止」を求める声続々】

 

　状況から見るに、宿泊予定かつ記念日プレートも注文していた客が、無断不泊をしてしまったようだ。ツイートには、非常識な行為に対する非難の声が寄せられている。

 

《それはあまりにひどい…。お客様の喜ぶ笑顔を思い浮かべながら作ったデザートプレートなのに…。無断不泊ははっきり言って犯罪ですからね？もう少し、重みを知ってほしい。》

 

《何か事情があったかもしれない…けど、何にせよ悲しい　喜んで欲しいし心を込めてるから、お金だけの問題じゃないんですよね　どこにでもあるんだろうけど（あっちゃならないけど）、連絡も無しにすっぽらかしなんて用意してくれてる方の事考えたら出来ないと思うのに…》

 

《宿の皆様のお気持ちをお察しします　何より、こういう一部の不誠実な客がいるから、良心的な宿や店舗も経営上、次第に規約を厳しくせざるを得なくなる　常識的な客にも迷惑がかかると思います》

 

　いったい何があったのか、花房さんに詳しい話を聞いた。

 

「今回のお客様は、公式サイトで宿泊の予約をいただいた際、別注文で記念日プレートを予約されていました。しかし、当日はいらっしゃらず、連絡もつかず……。残念な気持ちと、なにか事故などにあってしまったのか、心配にもなりました。詳細は差し控えますが、いちおう翌日には連絡が取れています。

 

　予約されたお客様が当日、いらっしゃらない、という状況は、旅行業界では正直、珍しいことではありません。今後は、事前決済のプランを多くしていこうかと考えていますが、お客様にご不便をかけてしまう側面もあり、悩むところです」

 

　突然のできごとなど、さまざまな事情から、旅館の予約をキャンセルしなくてはいけないこともあるだろう。だが、後ろめたさゆえか、連絡なく宿に現れない、という非常識な人々は後をたたない。花房さんは「旅館側としては、連絡がないことがいちばん傷つきます」とも語る。

 

「我々としては、宿に来ていただくという前提のもと、部屋や食事など、さまざまな手配をしています。このごろは、直接、宿に電話をかけたり、旅行代理店を使ったりするより、スマホで予約ボタンを押すだけで予約が完結するようになりました。ボタンを押した裏で、何人ものスタッフたちが働いていることを、どうか忘れないでいただきたいです。

 

　これは、どんな業界にもいえることだと思います。Amazonで買い物をしたら勝手に届く、という意識に世の中が変わりつつありますが、実際には荷物を梱包する人、配達する人がいるわけです。世の中が便利になる一方で、裏で働く人たちの姿がなかなか見えなくなってきていると感じます。彼らのことを、お客様側が少しでも想像していただけたら、こうしたケースは減っていくのではないでしょうか。

 

　事故や入院など、どうしても直前キャンセルになってしまう場合はあります。その際、事情を考慮して、キャンセル料は1年間お預かりする、といった対応を取らせていただく事もございます。すべて無機質に対応するのではなく、柔軟にやっていければと思っておりますので、どうか事前の連絡をお願い致します」（花房さん）

 

　新型コロナが感染症法上で5類に分類されてから、初めての夏を迎える。多くの人が国内外を行き来することになりそうだが、ルールを守り、相手の気持ちに対する想像力を持った行動を心がけたい。

( SmartFLASH )