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竹原慎二「もっと生きたかったな」ステージ4のがん発覚で病室は葬式状態…車を売って高額診療に頼った過去も

ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2023.12.02 06:00 最終更新日:2023.12.02 06:00

竹原慎二「もっと生きたかったな」ステージ4のがん発覚で病室は葬式状態…車を売って高額診療に頼った過去も

心が折れても“作り笑い”で前を向いたという竹原氏

 

「最初は、膀胱炎だと診断されたんですよ」

 

 と語るのは、ボクシングの元WBA世界ミドル級王者の竹原慎二氏だ。

 

「2012年の冬に頻尿に悩み、何度か病院に行ったんです。でも症状が治まらず、痛みも出てくるようになった。我慢し続けていたんですが、2013年の大みそかに血尿が出て、翌年2月に別の病院でやっと膀胱がんだとわかりました」

 

 

 がんを見抜けなかった医師とは、裁判まで起こした。

 

「女のコとエッチしていないのに『性病じゃないか』などとさんざん疑われて、結果的に発見が遅れたわけですからね。あまりに杜撰な検査だったと思います。知人の弁護士に訴訟をすすめられ、裁判を起こしましたが負けました」

 

 ステージ4の膀胱がんだとわかったとき、竹原氏の心はさすがに折れたという。

 

「最初は、医師に『初期だから全然たいしたことないよ』と言われたんです。よかったと思うじゃないですか。でも、調べれば調べるほど、リンパ節に転移しているとか、ひどい病状が明らかになってきたんです。治療を受けたのはおもに東大病院ですが、それ以外の病院も4、5軒まわりました。でも、みんな『早くしないと、1年くらいで最悪のことになる』なんて言うんです。膀胱がんに関する本をいろいろ読んでも、5年生存率はわずか28%などと書かれている。もう駄目だ、もういいやと思っていました。病室は葬式みたいな状態ですよ。息子も娘もまだ小さかったので『もっと遊びたかった。まだ生きたかった』なんてことばかり考えて……。『ボクシングをしたい』という思いだけじゃ、闘病のモチベーションは維持できませんよ(笑)。女房やいろいろな人が支えてくれて、なんとか闘ってみようという気持ちになれました」

 

 竹原氏の治療法は、抗がん剤と、膀胱の全摘出だ。

 

「『抗がん剤の治療期間を短くして、手術でやってほしい』と伝えました。2カ月間ほど抗がん剤を投与され、その後、手術で膀胱を取りました。その際、自分の小腸で新しい膀胱を作りましたが、自然に排尿することはできません。今でも小便するときは踏ん張って、腹圧で出さないといけません。たいていの人は、筋力不足でカテーテルに頼るそうですから、ボクシングをやっていたおかげですね」

 

 高額な自由診療にも頼ったが、あまりおすすめはできないという。

 

「『ANK療法』というのですが、450万円ぐらいかかりました。お金はなかったのですが、死ねば生命保険が入ってくるし、車を売って治療費を用意しました。免疫力を高めるために、病院で自分のリンパ球を採取し、それを培養して体に戻すという治療法です。今ある膀胱がんをなんとかできても、転移する可能性があるし、免疫力はあったほうがいいかなと考えたんです。でも、結局効果があったのかわかりません。だから安易にはすすめられませんね」

 

 摘出手術をおこない、退院した後は、食事に徹底的にこだわったという。

 

「食品添加物を極力摂らないとか、なるべく和食を中心に有機野菜や魚、玄米ばかり食べていました。5年たち、転移も再発もしなかったので無事治りました」

 

 今でも、がんになった理由はわからないという。

 

「ジャンクフードばかり食べていましたし、鎮痛剤をたくさん飲んでいたので、これが原因なのかもしれません。現役引退直後はヘビースモーカーだったので、いろんな要素が積み重なった結果でしょうね。私がおすすめしたいのは、どんなに小さな痛みでも、いろいろな病気を疑ってくれる先生に診てもらうことです。すぐに『なんともない』という先生は危ない。それから、少しでも前向きになることです。病室で読んだ本に『常に笑うのが大事だ』と書いてあったけど、実際がんになると、腹から笑えないですよ。でも意地を張って、作り笑いをする努力をしていました。当時、女房もネットで調べてくれて、膀胱がんになっても、ポジティブな人は末期でも生き残っていると励ましてくれました。もともとネガティブな人間ですが、病気を経て少し前向きになれた気がします。人間いつかは死にますからね」

 

取材/文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)

( 週刊FLASH 2023年12月12日号 )

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