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「『大和朝廷」ではなく「ヤマト政権』」「『大化の改新』は『乙巳の変』に」大人が知らない日本史の新常識【古墳時代~飛鳥時代】
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.02.17 06:00 最終更新日:2024.02.17 06:00
受験シーズンの2月が到来。現代の受験生が解く日本史の内容は、大人世代の知っているものとは大きく異なっている。専門家に、「教科書から消えた」日本史の常識を解説してもらった。
<古墳>日本最大の古墳は「仁徳天皇陵」ではなく「大仙陵古墳」
1980年代には「仁徳天皇陵」と記載されることが多かった日本最大の古墳の名称が、現在使われている教科書では「大仙陵古墳」に変わった。「この名称変更を紐解くと、原因は幕末までさかのぼる」と語るのは、放送大学講師で、考古学者の山岸良二氏だ。
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「江戸幕府が、日本中の天皇の墓を莫大な費用をかけて改修することにしたんです。しかし、『日本書紀』に書かれた初代・神武天皇以降、歴代天皇の墓や古墳の場所がすべて特定されていたわけではありません。そこで、各天皇が亡くなった場所の記録から、その周辺にある古墳を各天皇の墓ということにしたのです。仁徳天皇陵も同じ流れで名づけられましたが、各地で考古学的な発掘調査をすると、天皇の年代と合わない出土物が次々と発掘されるなど、つじつまが合わなくなりました。そこで1960年代から、地名から古墳の名前をつけるようになりました。大仙というのも現地の地名です」
<古墳>「大和朝廷」ではなく「ヤマト政権」などに
現在、古墳時代に誕生した政権は「ヤマト政権」と表記される。「『朝廷』とは “天皇の政治どころ” という意味。天皇自身が日本の政治に大きくかかわるようになるのは、7世紀後半に活躍した天武天皇からですので、『ヤマト政権』が誕生した4~5世紀当時の、有力豪族の連合体による政治体制を『朝廷』と表記すると、意味が違ってしまうのです」(山岸氏)
<飛鳥>聖徳太子の肖像画は偽物。呼び方は「厩戸王」が主流に
「第40代の天武天皇は、兄の天智天皇の血筋を討ち滅ぼそうと、それまでの“タブー”を破り、中国にならった律令に基づく中央集権体制を整えました。この“クーデター”を正当化するため、歴史上で“大王を助けた優れた人物”を作り出す必要があり、聖徳太子こと厩戸(うまやどの)王に白羽の矢が立ったといわれています。いまの教科書では『かつて聖徳太子と呼ばれた』などと、実在性の薄い扱いになっています。聖徳太子の有名な肖像ですが、両隣にいるのが成人男性とすれば、中央の聖徳太子の身長は2m20cmほどになってしまいます(笑)」(山岸氏)
<飛鳥>蘇我入鹿が暗殺された事件は「大化の改新」ではなく「乙巳の変」に。「大化の改新」は「事件以降の政治改革」を指すように
中大兄皇子によって蘇我入鹿が暗殺された事件は、かつて「大化の改新」と表記されていた。しかし、現在ではその存在自体が疑問視されて、意味が変わっている。事件そのものは「乙巳(いっし)の変」という表記になり、それ以降、中大兄皇子や中臣鎌足らが中心となって律令政治を整えた改革を「大化の改新」と呼んでいるのだ。「もともと、大化とは日本最初の元号だとされてきました。この通説そのものが最新の研究で変わり、現在では、701年の『大宝』が最初の年号だといわれており、暗殺事件があった十干十二支=乙巳をこの事件の名前に当てています」(山岸氏)
<飛鳥>日本最古の貨幣は「和同開珎」ではなく「富本銭」だけど、鎌倉時代まで日本では中国銭が主流だった
「1998年、飛鳥池遺跡から富本銭(ふほんせん)が出土しました。しかも1~2枚ではなく、枝に富本銭が束ねられている状態で見つかりました。要するに、“銭の工場”が発掘されたわけです。さらに、地層の調査などにより、富本銭が和同開珎よりも古くから流通していた事実もわかりました。
しかし、当時はあまり日本製の銭貨は信用されていなかったといいます。というのも、当時の日本は中国が第一の手本ですから、中国から来たものを大切にしていたため、中国貨幣が日本に入ってくると、国産銭はほとんど流通しなくなりました。2018年に埼玉県の武士の館跡から、数万枚の埋蔵銭が発掘されましたが、全部、中国の銭貨ですよ。このように、室町時代や江戸時代に幕府が国産銭を作るまでは、国産の銭は信用度の低いものでした」(山岸氏)
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