4月8日、「日本初の内臓脂肪減少薬」とされる薬品「アライ」(大正製薬)の販売が開始された。
「ネット上では、『やせたい、でも食べたい』という願いをかなえる“夢の薬”と話題を集めています。
ただ、脂肪の一部が便として排出されるため、大正製薬が“おむつ着用”を呼びかけるなど、使用する際のハードルは、なかなか高そうです」(週刊誌記者)
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アライのメリットとデメリットについて、医師とともに検証していこう。
アライのメリットは、なんといっても内臓脂肪とお腹まわりの脂肪を減らせる点だ。臨床試験では、1年間の服用でお腹まわりが約5cm、内臓脂肪が20~30%減ったという報告もあるという。五良会クリニック白金高輪理事長・五藤良将医師はこう解説する。
「アライは、リパーゼという酵素を抑制して脂肪の吸収を抑え、便と一緒に排泄する作用があります。脂肪は、重要なエネルギー源でもあり、ホルモンや細胞膜、核膜を構成するなどの役割があります。アライによって、食べた脂肪が吸収されないと、体に蓄えられている脂肪が使われるため、その結果、内臓脂肪とお腹まわりの脂肪を減らすというわけです。アライが体脂肪を溶かすといったことではありません」
アライの一般名(成分)は「オルリスタット」、海外では「ゼニカル」などの商品名で、すでに20年以上前から承認され、使用されてきた。日本でも、以前から個人輸入や海外から持ち込み、使用する人がいた。都内で美容院を経営するAさんは、10年前にゼニカルを使用した経験がある。
「身長170cmの私は、当時、体重が80kgを超えて、やせたいと思っていました。友人に勧められてゼニカルを飲み始め、3カ月過ぎる頃には10kg減量できました。飲み始めて2日めくらいから、すごい量の便が出るようになって、仕事中にも漏れてきそうになって、トイレに駆け込んだこともあります。おならだけでのつもりが油まで出て、あせったこともありました」
Aさんの職場でもゼニカルを服用する人が数人おり、競うようにトイレにいく状況だったという。
「なかには、服に黄色い油染みができた人もいて、トラウマになって飲むのをやめましたね。トイレの掃除もたいへんだったこともあって、自然とみんな、やめた感じでした。私は、目標体重に到達したのでやめたのですが、食べる量は変わらなかったの、秒でリバウンドしました。以前は、海外に行ったときに買っていましたが、日本で買えるようになるなら、また、使ってみようかなと思います」(Aさん)
海外での購入や個人輸入では自由だが、アライは、購入に関して条件がある。
「研修を受けて販売資格を取った薬剤師がいる薬局のみが販売できます。また、購入には、健康で3カ月以上、生活習慣の改善に取り組んでいることも条件であり、購入後は体重の記録が必要となります。6カ月を過ぎても効果が得られない場合は『中止して医師に相談してください』となるので、購入にはハードルが高い面がありますね」(五藤医師)
また、アライにはいまのところ重篤な副作用はないようだが、長期的に服用する場合には、注意が必要だと五藤医師は指摘する。
「服用をやめるとリバウンドしますので、食生活の改善や運動を取り入れるといったことが必要です。また、脂肪分の吸収を抑えるというメカニズムから、脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、K、βカロテンの吸収も阻害されるとおもいますので、長期に服用する場合には、これらを別途、ビタミン剤などで摂取する必要があります」
もちろん、医薬品としての承認を受けたアライの安全性は、高いものといえるだろう。
「同じ成分のゼニカルが流通する海外では、すでに4000万人が服用したと推定され、肥満症、メタボ予防に服用する人も多くいるようです。現在、ダイエット薬として糖尿病治療薬を使用する人がいて、医薬品不足を招き、問題となっています。アライの販売開始によって、そういった問題も解消されることになるかもしれません」
使用の際は、薬剤師の説明を十分に聞くことが大切だ。
( SmartFLASH )