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医師が体験した「舌がんの予兆」歯を磨いているときに気づいた「舌の白さ」半年後に “ピリッ”/ 青木厚医師
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.06.23 06:00 最終更新日:2024.06.23 06:00
ふだんは“宣告する側”である医師が、初めてがんになって感じたショックと不安。生還した今、「がんに気づいた瞬間」や、人生観について聞いた!
埼玉で2つのクリニックを経営し、ベストセラー『「空腹」こそ最強のクスリ』(アスコム)でも知られる青木厚医師(54)は、40歳のときに舌がんを患った。
「もう14年前になります。ある日の朝、歯を磨いているとき、舌の左側が白くなっていました。痛みはなく、白板症(口腔の粘膜が白くなる病変)だと思いました。白板症なら、がんではなく、がん化する確率も数パーセントです。特に気にしていなかったんですが、半年くらいたったころに突然、ピリッとした痛みがあり、何かなと鏡で見ると、白板症のところが潰瘍化していたのです。『これは、がんだな』と、とっさに思いました」
青木医師は、すぐに当時勤務していた病院の口腔外科を受診した。
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「診察で、舌がんステージ1と告知され、手術か放射線治療かを選ぶように言われました。治療成績はどちらも同じとのことで、私は手術を選びました。放射線治療を選ぶ人が多く、治療開始まで待つ必要があるのですが、手術ならすぐに受けることができるからでした」
がんの告知から手術までは、1カ月ほどだった。
「舌の左側4分の1を切除する手術を受けました。手術は3時間ほどだったと思います。術後に1週間ほど入院しただけで、その後の再発もなく現在にいたっています。術後5年くらいは、舌のしびれと味覚障害がありましたが、それも今はなくなり、食事もおいしく食べられるようになりました」
舌がんの進行は速く、早期に見つかったことはラッキーだったと振り返る。
「当時、38歳の知人が僕と同じ時期に舌がんと診断され、ほどなく亡くなられました。がん検診の対象でない部位のがんもたくさんありますので、何かしら体の異変を感じたらすぐに受診することが大事だと思います」
取材/文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)