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【シンガポール富裕層がみる日本の将来】“資産10億円”チョコ店経営男性が「日本の首相は茂木さん」と望む理由
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.09.16 06:00 最終更新日:2024.09.16 22:21
オリエンタルラジオ・中田敦彦、伊東美咲ら著名人が続々と移住するなど、世界の富裕層が集まるシンガポール。
そこに暮らす“ホンモノの大富豪”たちは、「落日の日本」の将来をどう見ているのか――。
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■推定資産約10億円/C・K・タンさん(70代)
C・Kさんはチョコレート店を経営する前に物流会社で2年、勤務。
その後に独立して約40年間、小さな物流会社を経営してきた。
引退後に、趣味でチョコレート作りを始め、数年前に店舗を借りて夫婦で切り盛りしてきた。最近、店舗を購入した。
現在の推定資産は日本円で約10億円だ。
「40年前に約3000万円で買った土地つきのバンガローを3年前に売ったら、4億5000万円で売れたんだ。その現金で買ったのが、この店だよ」
夕方、リトルインディアにあるC・Kさんが経営するチョコレート店「MasBie」に行くと、引退したアクティブなシニアたちが集まり、まるでサロンのようだ。
ほとんどが、ビジネスや不動産投資で富を得て、金銭的に不自由のない人たち。
外国人である筆者も温かく迎えてくれ、先日は希少な18年もののウイスキーを出してくれた。
「あのボトルは100本以上まとめ買いをしているんだ。そうすればスーパーより25%程度安く手に入るし、いまは物価の上昇がすごいからね」
シンガポールの2023年のインフレ率は4.8%。小さな物流会社を経営してきたC・Kさんも、インフレの波に乗り、資産を増やしてきた。
「少し前までは、不動産価格が2年で2倍になる時期もあり、何度か売買したこともあるよ。価格が安定している不動産を資産防衛のために購入することは、シンガポールでは手堅い投資なんだ。いまから買っても遅くないと思うよ。私も最近、居住用のアパートも買ったばかりだ」
C・Kさんは、不動産以外に何に投資をしてきたのか。
「私は不動産と、政府の年金以外には投資をしてこなかった。年金も4%程度の利回りが保証されてきたので、それで十分だった。日本の不動産や企業に投資している友人はいるけど、言葉の壁があるからね。自分がよくわかるもの以外には投資しないほうがいいと思う。外貨投資もしていなくて、シンガポールドルしか持っていないよ」
店では、ときに政治や経済の話も飛びかう。
ちょうど盛り上がっている、米国と日本の次のリーダー選びについても、典型的なシンガポール人のシニアであるC・Kさんは、ニュースで見聞きしているようだ。
タブレットの画像を指さしながら持論を語ってくれた。
「トランプは民主主義者ではないので、より穏健で教養もあるハリスに大統領になってもらいたいね。日本の首相に関しても、茂木(敏充・自民党幹事長)さんのように経験豊富で、知的で穏健な人がいい。アメリカだけではなく中国ともうまくやれる人が、次の首相として望ましいと思う」
穏健派が選ばれることが、アジアの玄関口であるシンガポールにとってもよいことだというC・Kさん。
日本経済についても目を配っている。
「いまの円安は歴史的に考えると異常で、いずれ円高に戻るはずだし、日本は成功すると確信している。車は30年間ずっと日本車に乗っているよ。レクサスなどトヨタ車が大好きだけど、いまは商品配達用に買った日産のバン。近くにあるユニクロはたまに利用するし、ドン・キホーテでは刺身を買っているよ」
日本からも富裕層の移住が増えていることを肌で感じる。
「みな、いい人たちで礼儀正しいと思うよ。30年前なら、自分もシンガポールという国自体も若く、日本人は “ボスで格上” という印象だったけど、いまは自分も国も成熟したから、対等な関係性が築けるようになったかな」
取材/文/写真・花輪陽子(シンガポール在住ファイナンシャル・プランナー)
外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、ファミリーオフィス(富裕層一族の資産管理会社)などでウェルスマネジメントに従事。近著は、ファンドマネ―ジャーの河北博光氏著『世界標準の資産の増やし方 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社、執筆協力)