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【シンガポール富裕層がみる日本の将来】“資産1000億円以上”ジム・ロジャーズ氏が「岸田首相に感銘を受けた」「世界は大混乱に陥る」と語る理由
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2024.09.17 06:00 最終更新日:2024.09.17 06:00
オリエンタルラジオ・中田敦彦、伊東美咲ら著名人が続々移住するなど、世界の富裕層が集まるシンガポール。そこに暮らす“ホンモノの大富豪”たちは、「落日の日本」の将来をどう見ているのか――。
世界三大投資家の一人。ジョージ・ソロス氏とともにクォンタム・ファンドを設立し、10年間で4200%という驚異的なリターンを上げ、わずか37歳で引退している。その後は投資家として個人資産を運用し、一代で巨額の富を築いた。近著にワタミ会長兼社長の渡邉美樹氏との対談本『大暴落』(プレジデント社)がある。
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ロジャーズ氏の自宅はホランドビレッジにある一軒家の豪邸だ。2人の娘の教育環境を考え、2007年にシンガポールに移住してきた。
「毎朝、エアロバイクを1時間漕ぎながら、新聞を読むのがルーティンです。『フィナンシャル・タイムズ』や、地元紙の『ストレーツ・タイムズ』『ビジネスタイムズ』も全ページに目を通します」
日本市場では、8月に大きな暴落とリバウンドがあった。ロジャーズ氏の資産には影響があったのか。
「各紙とも、その話題は大きくは取り上げていませんでしたね。私も日本株は昨年末にすべて売り払っており、影響は受けていません。もしもっと大暴落をしたら、賢く買い増ししたいですね。8月の下落では十分ではありません」
ロジャーズ氏は今、保有資産の多くを米ドルと、金や銀などの景気変動の影響が小さい資産にしているという。
「トランプであれハリスであれ、次の大統領任期中に深刻な弱気相場が起こると断言できます。なぜなら、リーマンショック後の十数年、あまりにも長い間、強気相場が続いたからです。その間も、米国の借金は毎日膨れ上がっているのです。バブルは永遠には続きません。近いうちに世界は大混乱に陥るでしょう」
むろん日本も例外ではない。
「日本は、もう15年も人口が減り続けています。シンガポールのように移民を受け入れないと、あなたたちのお子さんがとても苦労することになります」
日本に対する辛口コメントで知られるロジャーズ氏だが、その素顔は親日家そのもの。日本のウイスキーや日本酒、ウナギが好物だ。最近は、筆者の実家がある三重県鳥羽市に本店をおく「ブランカ」のマドレーヌ「シェル・レーヌ」を手土産で持参したら、大絶賛してくれた。
「シンガポールにあるワタミの生姜焼きなども美味しかったですよ(笑)。吉野家もよく知っています。30年間のデフレの時代を生き抜き、成長してきたこれらの企業は素晴らしいと思います」
しかし今は、日本を含めた世界でインフレが進む。
「それなのに、日本は馬鹿げた金融緩和を続けてきました。これでは円安が進むのは当たり前です。金融緩和をやめ、利上げをしたのは当然とはいえ、岸田首相が日本経済のために何かをしようとしたことには感銘を受けています。ようやく、日本経済はうまく回り始めているのだと思います」
取材/文/写真・花輪陽子(シンガポール在住ファイナンシャル・プランナー)
外資系投資銀行を経てFPとして独立。2015年から生活の拠点をシンガポールに移し、ファミリーオフィス(富裕層一族の資産管理会社)などでウェルスマネジメントに従事。近著は、ファンドマネ―ジャーの河北博光氏著『世界標準の資産の増やし方 豊かに生きるための投資の大原則』(東洋経済新報社、執筆協力)