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【SNSで話題】「ボンタンアメ」で“尿意が消える”は本当か?医師に聞いた

古くから知られる「ボンタンアメ」(セイカ食品の公式サイトより)
昔なつかしの駄菓子「ボンタンアメ」が、2025年で発売100周年を迎える。幅広い世代に愛されているが、SNSではボンタンアメに関する、ある“噂”が注目を集めている。
発端となったのは、Xユーザーの投稿。
「3月に入って以降、『ボンタンアメを食べると、尿意が消える』という体験談が拡散されています。映画やコンサート、飛行機に乗る前など、トイレに行きにくい状況下でボンタンアメを舐めたところ、尿意を感じなくなったというのです。古くからあるお菓子に“トイレ対策”の効果があるのではないかという声が広がっています」(情報誌ライター)
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ボンタンアメは、1925年(大正14年)から鹿児島県のセイカ食品株式会社で製造、販売されている。“南国特産”の名のとおり鹿児島では定番のお菓子で、レトロな紺色のパッケージに黄色いボンタンのイラストがおなじみだ。そんな歴史ある駄菓子にまつわる噂について、Xでは
《ボンタンアメ、美味しくて全部食べちゃったんだけど、全然尿意感じなくてすごい》
《舐めて挑んだらプラシーボかもしれないけど4時間トイレ行かなくても平気だった》
《効果絶大だった 飲酒屋さんでトイレに入らず帰路》
など、ユーザーからも効果を実感したかのような声が聞かれている。
ボンタンアメを食べることで尿意を感じにくくなるような効果は、メーカーで確認されているのか。同商品の販売元であるセイカ食品に問い合わせたところ、
「弊社では科学的知見を持ち合わせておらず、今回のご質問についても、現状ではご回答致しかねます」
という回答だった。
ボンタンアメが尿意に与える影響に関して、なかざわ腎泌尿器科クリニックの中澤佑介院長に話を聞いた。
セイカ食品の公式サイトによれば、ボンタンアメはもち米が主要原料だと記載されているが、中澤院長は「炭水化物」に着目する。
「ボンタンアメを食すことで、血糖値が上がり、一時的に水分を血管に残すと思われます。糖質が上がると血しょうの浸透圧も上がり、体内の水分が外に出ないようになるため、尿量自体が減ります。
一般的に、膀胱の容量は約300〜400ccとされていますが、尿量が減ることで、トイレに行きたいと感じにくくなる効果はあるでしょう。ボンタンアメに限らず、餅や大福、金平糖、『銘菓ひよ子』のようなお菓子などでも同様の効果が見込めます。ただ、浸透圧の関係で尿の生成が抑制される可能性は考えられますが、その効果は限定的であり、長時間持続するものではありません」(中澤院長、以下同)
SNSでは、コンサートや映画を観る前にボンタンアメを食すことで、尿意を感じなくなったという指摘も出ている。これには、食品とは別の要因も考えられるという。
「尿意には、自律神経のバランスもかかわっています。興奮状態で優位に働く交感神経が作用すると、尿意は下がる傾向にあります。楽曲で盛り上がるコンサートでは、交感神経が優位に働くなか、尿意を感じにくくなった可能性もあります」
大福や餅に比べて、ポケットに入れて持ち運べる利便性も、ボンタンアメが注目された要因の一つだろう。ただ、尿意を減らすために食べることには注意が必要という。
「ボンタンアメを食すことで一時的な効果は見込めるかもしれませんが、特効薬ではありません。糖質ばかり摂ると、肥満や糖尿病につながるリスクがあります。万が一、トイレに行く回数が気になるようであれば、医療機関を受診することをおすすめします」
食べすぎには要注意だが、ボンタンアメを常備して損はないかも。