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この「激レア雲」見たことある? 片岡信和、荒木健太郎ら「気象予報士&学者」4名が撮った自慢の1枚

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記事投稿日:2025.08.11 06:00 最終更新日:2025.08.11 06:00
出典元: 週刊FLASH 2025年8月19日・26日合併号
著者: 『FLASH』編集部
この「激レア雲」見たことある? 片岡信和、荒木健太郎ら「気象予報士&学者」4名が撮った自慢の1枚

荒木健太郎の「自慢の1枚」【反薄明光線】(『すごすぎる天気の図鑑』荒木健太郎著、KADOKAWAより)

 

 仕事に疲れ、ふと見上げて思う「夏休みの自由研究で調べたのは、いつだったっけ……」。記録的な猛暑の今夏、石原良純氏、片岡信和氏、菊池真以氏ら人気気象予報士が撮った “推し雲” の写真を見せてもらい、真夏の空の楽しみ方を教わった。アニメ映画『天気の子』の気象監修も務めた「雲博士」荒木健太郎氏の “推し雲” &スペシャル解説つき!

 

■【石原良純の「自慢の1枚」】正面から撮った「かなとこ雲」経過観察してみたら……

 

「この暑さは経験したことがない、想像を絶する気象。もはや、SFの世界ですね」

 

 と、石原良純はギラギラの太陽にほえてみせる。子供のころ、逗子海岸に浮かぶ夏雲を見て、気象に関心を持つようになった。

 

「夏らしい雲として僕が選んだのは『かなとこ雲』です。入道雲が成層圏の下まで達してそれ以上成長できなくなり、上部が真っ平らになる。これを正面から撮った写真は珍しいでしょ? 雷雨をもたらす『多毛雲』だから、これだけ巨大化したらひと雨来るかなと経過を追ったんだけど、やがて崩れちゃいました」

 

 雲の写真を眺め、「昔ながらの夕立がなくなった」と嘆く。

 

「ポタッとまず雨粒が落ちてくる。次いでザーッと降り出す。音だけでも楽しく感じられたのに、最近はゲリラ豪雨に取って代わられてしまったよね……」

 

 この日は快晴だったが、不安気に空を見遣った。

 

 

いしはらよしずみ
1997年に気象予報士の資格を取得し、『FNNスーパーニュース』(フジテレビ系)で2001〜2013年に気象情報を担当。現在もMCやコメンテーターとして気象解説をおこなう

 

■【片岡信和の「自慢の1枚」】「放射状積雲」を見て思う……人生も雲も、上昇気流だけじゃない

 

 ストレッチやピアノ弾き語りを気象予報に持ち込み、新風を吹かせる片岡信和。その “自慢の1枚” の筆頭は、青空に低く棚引く放射状積雲だ。

 

「積雲が連なっているだけなんですが、雲塊が平行に並び、角度によってこう見えます。雲は、海や川などの水面から蒸発した水蒸気が、上空で冷やされて水滴や氷の粒となり、それらが集まってできたもの。大気の状態が安定しており、積雲は背高く発達することなく、雨の心配もありません。仲よく平和に並んでいて微笑ましいです」

 

「雲は人と似ている」が持論。

 

「温かい心の持ち主だって、上昇志向を持つうちに、冷たい視線にふれることもある。そこで自分の限界を知り、涙の雨が降るのかもしれません(笑)。次の雲も人間的ですよ」

 

 と挙げたのが乳房雲。

 

「雲の中で起きた下降気流と、地面付近で発生した上昇気流がぶつかり合い、空気が乱れてこのような形状になります。僕には、他人と意見が合わず衝突してしまい、一触即発な空気に見えます……え、見えないですか?(笑)」

 

 実際に、この雲を見かけたら要注意。雷雨や突風がもたらされること必定だ。そして、次にすすめる雲は環水平アーク。

 

「夏の高い太陽の下でよく出現します。氷の粒でできた薄雲に光が屈折し、虹のように見えるんです。写真では低い位置にあるように見えますが、この雲は意外と高いところにあるんです。太陽光が差し込みやすく、屈折・散乱することで、ばっちりプリズムの役割を果たしているんです」

 

かたおかしんわ
スーパー戦隊シリーズでデビュー。気象予報士試験に合格後は、『有働Times』『羽鳥慎一モーニングショー』(ともにテレビ朝日系)に出演中

 

■【菊池真以の「自慢の1枚」】雲を追って山へ海へ! 富士山五合目では積雲が足元に

 

 菊池真以の趣味は写真撮影で、休日には海や山へ雲シューティングに出かける。

 

「『白虹(はっこう)』を撮ったのは大洗海岸。霧が海に広がった瞬間でした。太陽の光が雨に反射・屈折すると七色の虹になりますが、白虹は霧にできるんです。霧の粒はとても細かいため、光が色に分かれず白く見える。朝や夕方に霧が出ていると、稀に現われます」

 

 続いて彼女が挙げた “レア雲” は、「ゆきあいの空」だ。

 

「気象用語ではなく俳句の季語で、夏から秋へ移るころの空模様のことを表わしています。これは富士山五合目で撮った写真で、下には夏のわた雲が、上には秋のうろこ雲や、すじ雲が重なっていました」

 

 最後は、「ゲリラ雷雨」をもたらす積乱雲。

 

「美ヶ原高原で撮影しました。真ん中は滝のような雨が降っているのに、奥は晴れたまま。局地的であることが、一目でわかります」

 

きくちまい
これまで『ニュース7』(NHK)などに出演してきたほか、著書に『ときめく雲図鑑』(山と溪谷社)など。雲の撮影がライフワーク

 

■【荒木健太郎の「自慢の1枚」】光と影の筋が……第一人者が推すカッコいい雲

 

 気象庁気象研究所の荒木健太郎氏は、「雲研究」の第一人者。今回、気象予報士らの1枚を見てもらった。「空を眺めるのが楽しくて仕方がない」と言う石原の写真はーー。

 

「雲の成長を見届けようとする姿勢が、石原さんらしいですね。『かなとこ雲』をじっくり捉えています。2枚めをよく見ると、上部にベールのような “頭巾雲” も見られます」

 

 片岡は、整然と並ぶ積雲を、独特の言葉で表現した。

 

「 “クラウドストリート” ともいい、晴れて風が吹いているときに発生し、関東でもよく見られますが、奥行きある構図にこだわりが見えますね」

 

 菊池が富士山で撮った「ゆきあいの空」はどうか。

 

「普段は地上から見上げる積雲が、眼下に広がる風景は圧巻。積雲の底が平らになっているのも見えていて、山だからこそ撮れるいい写真ですね」

 

 荒木氏が推す夏の雲は?

 

「積乱雲は発達できる限界の高さに達すると平らになるのですが、それを突き抜けて盛り上がった “オーバーシュート” です。それから “天割れ” といわれる現象。正式名は薄明光線で、日没近くに太陽が雲の後ろに隠れて、光と影の筋が空に放射状に広がったものです。反薄明光線は、その筋が東の空まで伸び、光と影が一点に集まって見えます」

 

 夏ならではの空の演出なのだ。

 

荒木健太郎
SNS総フォロワー数50万人超の人気研究者。新海誠監督のアニメ映画『天気の子』の気象監修も。『すごすぎる天気の図鑑』シリーズ(KADOKAWA)など著書多数

 

取材/文・鈴木隆祐

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