登山家の野口健が、3月11日放送の『誰だって波瀾爆笑』(日本テレビ系)に出演。気性の激しい母親について語っていた。
外交官の父である雅昭さんと、エジプト出身のモナさんの次男として、アメリカのボストンで生まれた野口。番組では、幼稚園でいじめにあったときの対応をこう振り返る。
「日本(人)の母ちゃんだったら『かわいそうに』って慰めてくれるけど、アラブ人ですからね。玄関で、誰と誰に何をやられたか聞かれるんです。『殴られた』って言うと、『1発殴られたら、10発殴り返せ』って。『目には目を。歯には歯を』。やられたら徹底的にやり返す」
相手は大人数のため、仕返しが難しい。母親が方法を考え「どんな手を使ってもいい。相手の靴に入れなさい」と画鋲を渡されたという。
そんな母親のエキセントリックな一面は、夫婦喧嘩でも遺憾なく発揮された。
「だいたい母ちゃんが一方的にキレるんです。植木鉢をベランダから持ってきて親父に投げる。親父がよけて家中が泥だらけ。公務員住宅だったんですけど、夜中に窓開けて『日本の男、最低!』ってシャウトするんです。次の日、僕と兄貴で『母ちゃんがすみません』って謝って回る。大変でした」
エジプトに住んでいた11歳のとき、そんな母親と離れるきっかけが突然やってくる。絵の勉強がしたいと、男性講師を家に呼び始めた母親。気づけば、先生が頻繁に家に出入りするようになったという。
「あるとき友達と町を歩いてたら、母ちゃんがその男と腕を組んで歩いてる。友達が『あれ健の母ちゃんだろ?』って言ったけど、母親のそういう現場だから咄嗟に『違う』って。そうこうしてるうちに母ちゃん腹が大きくなるんです。僕からすると『ん、どっち(が父親)だ?』と」
母親が生まれてきた子供に「いさむ」と日本人名をつけたため、いったんは安心したという。
「親父が帰ってきて、父といさむの目とか鼻とか爪とか、パーツの共通点を頑張って探すんですけど、どこにもない。その瞬間に僕は違うと確信するんです。親父がいっつも喜んで抱っこしてるのを、心の中で『親父は(その子の)親父じゃないんだよ』って」
だんだんと赤ちゃんが成長し、明らかに日本人の父親でないことが判明。当然、夫婦関係がぎくしゃくし始め、最終的には母親が弟を連れて家を出て行くことに。
話の最後に野口は「『母ちゃんは男を作って出てってしまった。だから親父も早く女を作れ』。これが小学生のときの僕のセリフです」と締めくくり、スタジオが引くほどオープンに自らの不幸を振り返っていた。
番組で、出演者に日本の不倫報道について問われ「馬鹿馬鹿しいですね」と一蹴した野口。エベレスト登頂に必要な強靭な精神力は、このころから培われていたのかもしれない。