
大阪大学の西村剛教授。紙製のトロフィと賞金のジンバブエドルを手に
ユニークな研究に贈られる世界的な賞なのに、イロモノ扱いされがちなイグ・ノーベル賞。じつは、日本は2007年から連続で受賞者を輩出する「常連国」だ。その後、彼らにはどんな恩恵がもたらされたのか? 笑いの裏にある思い、そして人生の転機を聞いた!
「受賞は、 “とばっちり” のようなものなんです」
2020年にイグ・ノーベル賞音響賞を受賞した大阪大学の西村剛教授(50)がそう語る。受賞理由は、ヘリウムガスで満たした気密室でワニをうならせて、ワニにも声が変わる「ドナルドダック効果」があると発見したこと。
もともと、専門はサル類。2012年、テナガザルにヘリウムガスを吸わせた声についての論文を発表していた西村教授は、ウィーン大学の大学院生(当時)、ステファン・レーバーさんらの研究グループが、ワニを水槽に入れて密閉、ヘリウムガスを吸わせて声が変化するかを調べる研究に参加。ワニの声の解析作業に貢献した。
「テナガザルの論文は日本ではウケませんでしたが、海外では “イグ・ノーベル賞ものだ” と言われました。受賞はワニででしたけど(笑)」
コロナ禍の授賞式は、リモート。トロフィはPDFで送られ、自分で組み立てるものだった。
「おかげさまで受賞後は講演が増え、トロフィを組み立てて持参し、差し上げています。子供はワニの話は喜んでくれますが、サルの研究には、興味がないみたいです(笑)」
講演料で、ダイソンの掃除機を買ったとか。
「うちでは『ワニソン』と呼んでいて、重宝しています。受賞はとばっちりでしたが、 “慰謝料” も若干入りましたし、 “被害” の状況をこうしてお話しできる。ありがたいことです」
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