
授賞式でスピーチする栗原一貴教授(帽子姿)と塚田浩二教授(写真・共同通信)
ユニークな研究に贈られる世界的な賞なのに、イロモノ扱いされがちなイグ・ノーベル賞。じつは、日本は2007年から連続で受賞者を輩出する「常連国」だ。その後、彼らにはどんな恩恵がもたらされたのか? 笑いの裏にある思い、そして人生の転機を聞いた!
2025年に入ってからも、人間の動きの法則「Fittsの法則」を応用し、高速に押せる格闘ゲーム用ボタン「栗原式インパクトボタン」が話題になるなど、ユニークな研究で知られる津田塾大学の栗原一貴教授(47)。
その研究のひとつ、おしゃべりを邪魔する銃「スピーチジャマー(Jammer=「妨害機」の意。「邪魔」の意も)」を発明したことでイグ・ノーベル賞音響賞を受賞したのは、2012年のことだ。
「もともと、自分には『変な研究』をする性質があり、そういう方向性に進んでいいのか、というためらいが少しはありましたが、『スピーチジャマー』のイグ・ノーベル賞受賞で “マッドサイエンティスト” のお墨つきをいただいたようで、迷わず邁進できるようになりました」
自身の話した言葉をほんの少し遅れて聞かせると、その人は話しにくくなる。この現象を利用し、離れた場所から発話を阻害する装置が、「スピーチジャマー」。公立はこだて未来大学の塚田浩二教授との共同研究だ。
受賞は、科学や知的好奇心の“伝道師”的な役割をもらったようだった、と栗原教授。その象徴が……。
「ドラえもんのひみつ道具の本に、『スピーチジャマー』が載ったことですかね。本来はSFが科学を先取りするのに、逆に科学の成果がSFに影響を与えたことがおもしろかったです」
ときおり講演で「小さいころにその本を読みました」と言われることが、嬉しいと笑った。
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