
イグ・ノーベル賞の賞状を手にする北海道大学の吉澤和徳教授
ユニークな研究に贈られる世界的な賞なのに、イロモノ扱いされがちなイグ・ノーベル賞。じつは、日本は2007年から連続で受賞者を輩出する「常連国」だ。その後、彼らにはどんな恩恵がもたらされたのか? 笑いの裏にある思い、そして人生の転機を聞いた!
北海道大学の吉澤和徳教授(54)は、ブラジルの洞窟に生息するチャタテムシの一属である「トリカヘチャタテ」を研究してきた。雌雄で生殖器が逆転しており、メスがペニスのような挿入器を持ち、交尾の際にオスに挿入して精子と栄養を取り込む。吉澤教授がこの特殊な進化を論文にしたのは2014年。イグ・ノーベル賞生物学賞を受賞する3年前のことだった。
「当時も、いろんな取材を受けましたが、内容が内容だけに、みんなボツになったんです」
イグ・ノーベル賞はずっとウオッチしてきたが、自分が受賞するとは思わなかった。
「授賞式には参加できず、洞窟内でスピーチを録画して、会場で上映してもらいました。自分が獲る前は“ノーベル賞はナンバーワン、イグ・ノーベル賞はオンリーワン”だって娘にも言いふらしていましたね。小っ恥ずかしくて、今は言えませんけど」
2017年の受賞後、一転して各メディアの注目を集めた。
「受賞したことで、研究が“下ネタ”ではなく学術的なものとして受け入れてもらえるようになったと思います。お金をもらえたり、受賞のおかげで大学内で昇進することは……特になかったですね(笑)」
しかし、なによりのご褒美は、かつて賞の“権威”をさんざん聞かされてきた長女から、“親父はスゴイ人だ”という眼差しで見てもらえたことだという。
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