JR東京駅・北出TACOSの「TOKYO SET」(写真・木村哲夫)
“立ち食いそば”が代名詞の時代はいまや昔。駅構内の飲食店が、劇的に進化している。
「昔は“駅ナカグルメ”といえばファストフード中心でしたが、最近はゆっくり落ち着いた、おしゃれな雰囲気のお店が増えてきています」
駅構内の飲食店の充実ぶりをこう話すのは、日本全国の“駅めし”を食べ歩いた『“駅酒場”探訪』(イカロス出版)の著者である、鈴木弘毅さんだ。
「昔に比べて、街中で見かける店も駅構内(駅ナカ)に出店するようになりました。列車の待ち時間にサッと入って、すぐ食べるという“駅グルメ”らしさは薄まったかもしれませんが、にぎわいはむしろ増しています。とくにコロナ禍以降は、お酒を楽しめる店が増えました。夜の営業が難しい街中の居酒屋に替わり、昼間から駅ナカで1杯、そんな光景も珍しくなくなりましたね」(鈴木さん、以下同)
そこで本誌は、新幹線の主要な停車駅である仙台、東京、名古屋、新大阪、博多駅構内の飲食店を調査。年末年始、行列必至の15店を紹介する。
まずは仙台駅。ここで外せない“駅めし”が、「牛たん通り」の「たんや善治郎」と「伊達の牛たん本舗」。分厚く、肉汁あふれる牛たんが味わえる。また、日本有数の漁港・石巻港から直送されたネタを味わえる「仙令鮨」も行列が絶えない人気店だ。
“駅めし”を進化させたといわれているのが、東京駅構内にある「グランスタ東京」だ。
「グランスタ東京には、“世界で唯一”の、駅構内に酒蔵を持つ『はせがわ酒店 グランスタ東京店』があります。併設の『東京駅酒造場』では実際にお酒が醸されており、できたてをその場で飲めます」
本誌記者が実際に「グランスタ」を歩くと、平日の昼間からグラスを傾ける人の姿があちらこちらに。
「仕事帰りの方や常連さんなど、多くのタコス好きが立ち寄ってくれます」と語るのは、「北出TACOS」のマネージャーだ。
「お客様の男女比は半々。海外からの観光客の方も多いです。アルコールを提供しているので、“一杯飲んでタコスも”という方が多いですよ。メキシコのビールを種類豊富にそろえています。ありがたいことに、週末は終日ほぼ満席です」(同前)
鈴木さんが「麺類でいうと圧倒的な実力店がそろっている」と太鼓判を押すのが名古屋駅。
「名古屋駅のホーム上にある麺店の店舗数は全国最多。新幹線側に4店舗、在来線側に5店舗ほどあります。私も在来線側で味噌味のきしめんを食べたことがありますが、濃厚な味わいでうなりました。名古屋では、駅周辺で働くサラリーマンがわざわざ入場券を買って、ホームにある店へ食べに行くことは普通だとか」
新大阪駅と博多駅については、こう解説する。
「新大阪はほかの主要駅と違って、乗り換えがメインの駅。そのため、駅ナカはサッと使える立ち飲みやフードコート型など、スピード勝負の店が目立ちます。一方、博多は街が丸ごと駅に入ったイメージです。地下街や駅構内には居酒屋やラーメン店が多く、中洲や天神は博多駅から少し距離があるので、ここで飲んだり食べたりする人が多いんです」
年末年始は、駅ナカで1杯もオツです。
写真・木村哲夫(北出TACOS)
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