たった1冊の本で、社会現象を巻き起こした作家たち。彼らにとってもベストセラーは大きな分岐点だった。印税を投資に回す人、まったく別の職業に就く人ーー。個性あふれる作家たちの人生を追う。
「秋元康さんのもとでAKB48の仕事をしていたころ、リーダーの高橋みなみが、いかに皆をまとめるかで悩んでいる姿を見ていました。そのとき、ビジネスで当たり前のマネジメントの手法などが、必要な場所や人に伝えられていないと気がついたんです」
こう語るのは『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(2009年/ダイヤモンド社)を発表し、日本にドラッカーブームを巻き起こした岩崎夏海氏(49)だ。
2006年に秋元氏に「女子高生が主役の映画の企画を考えろ」と言われた彼は、女子高生とドラッカーを結びつけた企画を提案。企画はボツになったが、秋元氏のもとを離れたあと、自身のブログで小説化したところ反響を呼び、書籍化が決まった。
同作はアニメ化され、前田敦子主演で映画化もされたが、大ヒットには至らず、「映像化で成功しなかったことが心残り」と振り返る。
作家として活動しつつ、2016年からは祖父が設立した児童書出版社・岩崎書店の社長も務める。
「名刺交換をすると、『もしドラ』作者が本屋さんを開店したと誤解されたりします(笑)」
いわさきなつみ
大学卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として活動し、AKB48のプロデュースにも携わる。2009年発表の『もしドラ』は300万部超え
(週刊FLASH 2018年3月20日号)