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【都心6区・37カ月ぶり中古価格下落】マンションバブルに“異変”で“買い”の時機到来か? プロが読む「さらに下がるエリア」

ライフ・マネー 記事投稿日:2026.04.04 06:00 最終更新日:2026.04.04 06:00

【都心6区・37カ月ぶり中古価格下落】マンションバブルに“異変”で“買い”の時機到来か? プロが読む「さらに下がるエリア」

三田ガーデンヒルズ(写真・保坂駱駝)

 

「中古マンションが、ダブつき始めています」

 

 都内の物件を扱う不動産会社の営業マンは、ため息を漏らす。

 

 不動産調査会社の東京カンテイは3月25日、2026年2月の都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)の中古マンション(70平方m換算)の平均希望売り出し価格が1億8761万円となり、37カ月ぶりに前月比で0.2%減になったことを発表した。

 

 ここ数年、上昇を続け“バブル”といわれることもあった都内の不動産相場。庶民には手の届かない価格まで高騰を続けていたが、状況に変化がみられるようだ。前出の不動産会社の営業マンはこう続ける。

 

「不動産経済研究所の2026年2月リポートでは、都心6区の新築マンション平均価格は1億9462万円でしたが、中古マンション価格もつられて上昇しており、新築とあまり変わりません。

 

 住宅取得価格は年収の5倍から7倍が目安といわれるなか、いまは10倍以上で手に届くかどうか、という水準です。世帯年収2000万円のパワーカップルでも、中古マンションの購入をためらうレベルになっており、成約率が低くなっています。成約できないから価格を下げざる得ない、という状況です」

 

 不動産市場の分析をするマンションリサーチ社の福嶋真司氏も、中古マンション価格の下落をこう分析する。

 

「都心の築浅・広面積住戸は、高い希少性があるため、もともと高額です。ただ、ここ数年の急激な価格上昇で購入希望者が『希少とはいえ、過度に高額になっていて買えない』状況になっています。そのため、募集在庫が増加し、当初の売り出し価格から大幅な価格調整を余儀なくされるケースも出てきています。象徴的な事例が『三田ガーデンヒルズ』です」

 

 不動産関係者によると、同マンションは1期販売の最低価格が、80平方mで2億3000万円台、最高額は45億円になり、3倍の価格で転売されたこともあったが、現在は逆に10%ほど値下げをして売り出される住戸もあるという。

 

 また価格高騰の要因には、中国人投資家による買い占めがこれまで取りざたされることもあったが、ここにも変化がみられるという。

 

「現場でのヒアリングベースですが、中国人投資家の購入は明確に減少しています。背景としては、在留資格のひとつである経営管理ビザの審査厳格化、日中間の政治・外交関係の変化が影響していると考えられます」(福嶋氏)

 

 実際に中国人投資家を含む海外顧客と取引のある、IT系不動産会社の営業マンは「自社のアプリ経由での、外国の方からの反響は少なくなってきている」状況だと話す。

 

 不動産経済に詳しいオラガ総研の牧野知弘氏は「“買取り転売ヤー”の苦境も価格調整の一因」と話す。

 

「彼らは中古の区分所有マンションを買って、内装をリニューアルします。そこに利益を上乗せして転売するのですが、これはマンション価格が右肩上がりだから成り立つ“転売ゲーム”です。価格が天井になったら、儲けが出ずにゲームセット。2025年秋ごろから“買取り転売ヤー”の苦境が伝えられるようになり、手持ちの物件をディスカウントして売りに出しているため、価格調整になっているのです」

 

 そして、不動産のプロたちは「価格下落の背景には金利上昇がある」と口をそろえる。

 

 4月からみずほ銀行、三井住友信託銀行、りそな銀行が、変動型住宅ローンの基準金利を0.25%引き上げ、過去最高の基準に設定。三菱UFJ銀行、三井住友銀行を含めた大手5行の平均が1%を超えることを、4月1日付の日本経済新聞が報じている。

 

「金利上昇は、不動産価格にとって冷や水を浴びせる結果になり、金利1%の上昇で、理論的にはマンション価格を15%から20%下落させる圧力になります」

 

 と、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営する「MFS」の塩澤崇氏は、マンション購入を検討している“実需層”に与える影響を指摘する。

 

 牧野氏は、投資家の視点から解説する。

 

「不動産投資は、金融機関からの借り入れでおこないますから、金利が上昇すれば支払い額も増えるので、運用利回りを確保するため家賃を上げなければなりません。とはいえ、投資家が家賃をアップしようと思っても、実質賃金のマイナスが続くなか、家賃上昇に対応できる住人ばかりではありません。もし家賃を上げられなければ投資は失敗です。家賃を上げられなかった投資家が、損を覚悟で購入価格より低い価格で売却するケースも散見されます」

 

 塩澤氏は「住宅購入者の多くが利用する住宅ローン減税は、年末のローン残高の0.7%を所得税・住民税から最大13年間、控除する制度です。以前はローンの金利分以上に控除されることもあり、ローンを借りたほうが儲かるケースもありましたが、金利上昇でこうした魅力が薄れつつあります」と語る。

 

 いくつもの要因が重なり、今回の「価格下落」になっているようだが、果たしてこの流れは続くのだろうか。

 

「今後、インフレが続く中で、家賃の引上げに賃借人の給与上昇が追いついていければ、物件価格は高水準を保つでしょう。

 

 しかし実質賃金が上がらず、家賃も上げられなくなった投資家は、損切りせざるを得なくなるでしょう。その結果、価格が下落する『調整期』に入ることになります。実需層にはありがたい局面ですが」(牧野氏)

 

 具体的には、どこのエリアの価格が下落するのか。福嶋氏は「今後、価格調整の圧力が強まると考えられるのは千代田区・港区・中央区といった都心3区、とくに湾岸エリアです」とみる。

 

「これらのエリアは投資と実需が混在していて、近年の価格上昇は投資マネーの流入で加速しました。その結果、価格が購買力から乖離し始めると、まずは実需層が離れ、続いて投資妙味も薄れることで投資家が離れます。つまり、実需も投資も支えられないエリアから順に、需要の減少と価格調整が顕在化します。湾岸エリアは供給量が多く、価格上昇も急激だったので、この調整圧力がより強く表れる可能性が高いのです」(福嶋氏)

 

 それでは、庶民にも手の届く“買い”の時期がこの先、到来するのかといえば、そう単純な話でもないようだ。

 

「インフレ期待もあるため、利便性のよいエリアは金利負けせず、購買力が保たれる可能性は十分に考えられます」

 

 と、塩澤氏は下落は一時的なもので、実需層の“買い意欲”は堅調と見る。一方で牧野氏は

 

「価格は下がり基調だと思いますが、(政策などで)どういう方向に行くのかまだわかりません。都心の不動産市場は投資資金で歪んでいますから、静観するのが得策です」

 

 と注意を促し、また福嶋氏も

 

「高価格帯から先行して価格調整が入ったので、下落幅も大きく『頭打ち』『下落局面入り』と認識される状況になりましたが、実需層が購入を検討するような価格帯には影響は少なく、実態としては全面的な下落には至っていません」

 

 と警鐘を鳴らす。

 

 果たして“不動産バブル”は続くのか、弾けるのかーー。

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出典元: SmartFLASH

著者: 『FLASH』編集部

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