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第40期名人「ひふみん」が推す「名人戦」10の血風録
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.05.20 11:00 最終更新日:2018.05.20 11:00
佐藤天彦名人(30)に、羽生善治竜王(47)が挑戦する「第76期名人戦七番勝負」が進行中だ。7局の激闘を経て、勝敗が決まる名人戦には、一局一局に、さまざまなドラマが秘められている。
「私は、初代名人・木村義雄名人から現名人・佐藤天彦名人まで、歴代名人すべてと対戦した唯一の棋士。77歳の引退まで、当事者として熱戦を見守った、いわば名人戦の生き証人です」
こう胸を張るのは、第40期名人の加藤一二三氏(78)である。 “神武以来の天才” と呼ばれた “ひふみん” の血が沸いた名勝負が、以下の10戦だ。
■第31期(1972年)常勝大山の終焉 中原時代の到来
○中原誠十段vs.●大山康晴名人
「居飛車の強者である中原さんが、あえて大山名人の得意とする振り飛車を用いる大胆な作戦に出て勝利。常勝大山名人の時代が終わった、将棋界の転機になった一戦です」
■第40期(1982年)3度目の正直に「ウヒョー!」
●中原誠名人vs.○加藤一二三十段
「私にとって3度目の名人戦で、勝てると確信した瞬間、私が『ウヒョー!』と叫んだと伝説が(笑)。本当は『あっそうか』と言った」
■第41期(1983年)最年少名人が誕生!
●加藤一二三名人vs.○谷川浩司八段
「大舞台に初挑戦となる21歳の谷川さんに、私は2勝4敗で残念ながら敗北。最年少名人の誕生はセンセーショナルな出来事でした」
■第52期(1994年)初挑戦で名人になった羽生
○羽生善治棋聖vs.●米長邦雄名人
「居飛車党の羽生さんが振り飛車を用い、米長さんをやすやすと撃破」
■第56期(1998年)“剛”の棋士が成した世代交代
○佐藤康光八段vs.●谷川浩司名人
「羽生世代の棋士が初めて谷川さんを撃破。康光さんは、相手に臆せずぶつかっていく“剛”の棋士。第7局まで続いた熱戦を制し、新名人に」
■第59期(2001年)得意戦法にこだわった名人
○丸山忠久名人vs.●谷川浩司九段
「丸山名人初の防衛戦。横歩取りという戦法を極めた丸山さんが見事防衛。得意戦法にこだわったスペシャリストの名人が誕生しました」
■第72期(2014年)“名人戦男”を倒して羽生復位
●森内俊之名人vs.○羽生善治三冠
「森内さんは名人戦で強さを発揮する“名人戦男”ですが、この一戦は羽生さんが4連勝し、復位。3回めの名人位復位は史上初でした」
■第73期(2015年)“入玉”の激戦!制したのは……
●行方尚史八段vs.○羽生善治名人
「第5局、自分の玉が相手の陣に入る“入玉”を敢行した羽生さん。行方さんも粘り熱戦となりましたが、一歩及ばず。羽生さんが防衛を果たしました」
■第74期(2016年)“横歩取り”で羽生を倒した!
●羽生善治名人vs.○佐藤天彦八段
「天彦さんがA級1年めという速さで挑戦権を獲得。相横歩取りを複数局で用いた天彦さんは羽生さんを苦しめ、圧勝しました」
■第75期(2017年)同い年対決!名人が逆転勝利
●稲葉陽八段vs.○佐藤天彦名人
「2人は同い年。天彦さんは、新しい戦法をきちんと研究し、1勝2敗の局面から3連勝。研究の成果が実った戦いでした」
(週刊FLASH 2018年4月24日号)