もう一人、44歳のBさんのケースを見てみよう。流通業に勤めているが、個人年収は300万円に届かない。パートで働く妻と、小学校に入ったばかりの娘がいる。
「月の小遣いは1万円。妻に交渉して、なんとか勝ち取った金額です。ここから平日の昼食代を捻出しなければならないので、かなりきついです。
昼食の予算は、自分のなかでは400円。牛丼、ほか弁、立ち食いそばあたりをローテーションで回してます。最近はコンビニの弁当は値段が上がってきて、手を出しにくくなってきました」
今回、アンケートに回答してくれたなかで、年収400万円未満だった人の数は332人。月の小遣い1万2000円はあくまで平均値で、「5000円未満」と回答したが23.8%もいた。
「今、ランチ代の平均は580円くらいです。1回のランチに600円使って、月に20日間、会社に行ったら、それだけで1万2000円の小遣いは終わってしまいます。タバコも買えないし、飲みにも行けません」(森永氏)
外食以外に、サラリーマンは小遣いを何に使っているのか。上のグラフは、世帯年収400万円未満の男性と1000〜1500万円の男性について、それぞれ週1回以上〜月に1回程度の頻度で、どのジャンルにお金を使ったか、について集計したものだ。
冒頭のAさんは、体を動かすことが好き。趣味のテニスのほか、最近はクライミングに興味があり、近くに出来たジムに行ってみようと思っている。メタボにならないよう気をつけているだけあって、スリムで見た目も若々しい。
「健康維持、スポーツにかけるお金は、年収によって大きく差が出ます。著書『年収300万円時代を生き抜く経済学』で書きましたが、収入の格差で『健康格差』が広がるんです。とにかく、健康に対してお金を使うのが、今の金持ちですね」(森永氏)
一方のBさんに、趣味について聞いたところ……。
「独身時代はパチンコに行ったりしていたんですが、結婚して子供が出来てから、趣味と呼べるようなものもなくなりました。本やマンガを買う余裕もありません」
森永氏によれば、年収が上がって最初に増えるのは、ギャンブルに関する出費なのだという。
「年収400万円未満で家族を養っていくとなると、ギャンブルなんかやってるどころじゃないですよね。ちょっと余裕が出来たところで、一か八かでバクチに行くんです。
ただし、そのあとで収入が増えても、今度はギャンブルへの出費はそんなに増えなくなります。金持ちになると、ギャンブルなんてやらなくてもいい、というわけですね」
(週刊FLASH 2018年5月1日号)