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狂暴化したクマが市街地を襲う! 出没原因は「縄張り争いの激化」すご腕・女性ハンターに聞いた狩猟の現場

ライフ・マネー 記事投稿日:2026.05.30 06:00 最終更新日:2026.05.30 06:39

狂暴化したクマが市街地を襲う! 出没原因は「縄張り争いの激化」すご腕・女性ハンターに聞いた狩猟の現場

愛犬のレラと一緒に狩りをする馬場さん(写真・金谷千治)

 

「 “首を狙え” というのがハンターの鉄則。クマでもシカでも “ここ” (首)が急所だからなんです」

 

 栃木県猟友会塩原分会所属の馬場順子さんは、ハンター歴5年。これまでにクマ2頭、シカ5頭を仕留め、発見した獲物は絶対に見逃さないというすご腕の狙撃ハンターだ。

 

「最近、東北地方ではクマが市街地域にまで出没しており、今年もクマ問題が大きくなりそうですが、この地域ではまだ見かけないですね。このあたりは、だいたいフキノトウが出始め、入梅シーズンの6月ごろに現われるんです」(以下「 」内は馬場さん)

 

 東京都奥多摩町でクマに襲われたとみられる下半身だけの遺体が発見されたことは記憶に新しいが、岩手県紫波町(しわちょう)でも4月下旬、山中で女性の遺体が発見された。さらに、女性の行方を捜索していた50代の男性警察官がクマに襲われて腕や顔面に重傷を負い、地元の猟友会ハンターによってクマが駆除される騒ぎになった。駆除されたのは、体長1.3mほどのメスグマだった。

 

「私が仕留めたクマもメスでした。初めて仕留めたのは一昨年7月。2頭めは同じ年の10月でした。体長は1.6m、体重は60kgぐらいでした」

 

 馬場さんがハンターになったのは、生家が牧場だったことと関係する。

 

「北海道弟子屈町(てしかがちょう)出身で、生家は乳牛の牧場を経営しています。毎年、牧草がエゾシカに食い荒らされるので周囲にネットを張っていたのですが、破って侵入して来るんです」

 

 その後、北海道を離れて神奈川県に住み、7年前に周囲の環境が故郷の弟子屈によく似ていることから塩原地区に移住。移住後、近隣の農家でも有害鳥獣による農作物被害が絶えないことから故郷の牧場被害を想起し、一念発起して銃猟免許を取得したのだ。

 

「5年前にまず第二種銃猟免許、翌年わな猟の免許を取りました。そして一昨年に、第一種銃猟免許を取得したんです。現在、私が使っている猟銃はハーフライフルです」

 

 第一種銃猟免許とはライフルおよび散弾銃の免許をいい、第二種銃猟免許とは空気銃の免許をいう。ハーフライフルは、散弾銃とライフルの中間と思えばいい。射程は、ライフルは400~500mに対し、ハーフライフルは300m前後で、散弾銃より命中率が高く狙撃用に適している。馬場さんが所持するハーフライフルの銃身は約1.1m。スコープつきだ。

 

「弾丸は3発装填で、年間60発ぐらい撃っていますね。シカだったら20mぐらいのところから1発で、ほぼ確実に仕留めています」

 

 一昨年のハーフライフル所持と同時に、クマ2頭を仕留めた。狩猟の際、馬場さんの行動範囲は半径およそ10km。愛犬レラを連れて山に入っている、まさにプロのハンターだ。現在、塩原分会には30名のハンターがおり、このうち馬場さんを含めて4名が女性だ。

 

「3月ごろにクマの足跡を見つけましたが、今年はあまり出ないのでは、と思っています。このあたりは、ドングリなどエサになるものが少ないのでね。去年あれほど騒がれていましたが、この地域で獲ったクマは2頭だけでした」

 

 とはいえ、全国各地でクマ騒動が発生しているから油断は禁物。クマは冬眠するが、これはオスだけ。なぜなら、メスはこの時期に子育てをおこなうからだ。メスグマは11~12月ごろに出産。生後4カ月ほどで子グマは母グマと行動をともにし、エサの取り方などを教え込まれ3、4年で発情期を迎える。これを機に親離れが始まる。

 

 クマの寿命は約20年といわれ、メスが出産する頭数は1回あたり2頭ほど。1頭のクマが生涯に出産する頭数は計6、7頭ほどで、繁殖頻度はけっして高くない。

 

 クマの市街地出没原因について、個体数の増加を指摘する人もいるが、クマの出産頭数が増えたり出産頻度が上がったりしたわけではない。だとすれば、別の要因がある。

 

「縄張りです。クマにも縄張りがあり、それを荒らすものや侵入するものがいれば、当然撃退する。追い払われたクマは仲間に入れないので山に住めず、人家に近い里山に住むしかない。市街地に現われるのは、縄張りから弾き出されたクマなんです。

 

 生息地が減少しているせいもあってか、クマの縄張り争いは昔よりかなり激しくなっています。さらに、縄張り争いが増えているせいで、クマの気性も荒くなっているというわけです」

 

 ならば、狂暴化したクマから身を守るためにはどうしたらよいのか。

 

「私も何度かクマに遭遇した経験があります。10年ほど前、偶然クマに出遭いましたが、襲われることはありませんでした。慌てず、ゆっくりと後ずさりしてその場を離れたからです。いたずらに慌てたり大声を出すからクマを刺激し、興奮させるんです」

 

 4月中旬、塩原分会のハンターたちは市内の寺院に集い、獲物たちの供養祭をおこなった。この後、ハンターたちは狩猟シーズンに入る。折しも、冬眠から覚めたクマたちの活動も活発化し、いよいよ女性ハンターたちの出番である。

 

写真・金谷千治
取材&文・岡村青

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出典元: 週刊FLASH 2026年6月9日・16日合併号

著者: 『FLASH』編集部

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