3大AIのキャラ別トリセツ
米商務省の輸出管理指令により一時停止されていた米アンソロピック社の最新AIモデル「クロード・フェイブル5」の規制が解除され、7月1日から提供が再開された。
アメリカ政府が介入するほど高性能になったAIだが、なぜか私たちが日常的に使うインターネットの情報収集レベルの作業で、未だに初歩的なミス(ハルシネーション)を犯すことがある。
AIメディア「AI NOW」元編集長の小澤健祐(けんすけ)氏は「これはAIがミスをしているわけではありません」と言う。実際、オフライン状態のパソコンでAIに《地球の人口を教えてください》と質問してみると、AIは《2026年時点で世界の人口は8億人》と回答。明らかに間違いだが……。
「オフライン環境であるため、AIがインターネット上の情報を参照することができません。そのためAIは、その内容が事実であるかどうかよりも、文章として成立しているかを優先して、こう回答したのです。AIにはそのとき参照できる情報から、文章として成立することを優先する傾向があるのです」(小澤氏、以下「 」内同)
だが、インターネットに接続した状態で質問しても、間違った回答をすることも。
「指示の問題もあります。一次情報を添付したうえで、そこから作業するようにAIへ指示を出すことが重要です。
どこから情報を持ってくるべきかを明確に定義しなければ、ミスが多くなる傾向があります。たとえば、『公式サイトから抽出してください』と依頼すると、誤りが起きにくくなります」
これは、どのAIを使っても起こりうる。
「誤った情報が出力されてしまう恐れは、すべてにおいて共通しています。結局のところ、それはAIとのつき合い方の問題にほかなりません。
ウェブ検索やリサーチ機能をオンにする、あるいは参照元を指定する。ミスをなくすための解決方法は、基本的にはどれも同じです」
では、AIの間で“違い”はあるのだろうか。3大AIの「チャットGPT」「ジェミニ」「クロード」を、小澤氏の解説をもとに“キャラクター別”に紹介する。
まずは「現時点でのシェアはトップ」という「チャットGPT」(チャッピー)だ。
今年5月にプロ野球・巨人の阿部慎之助前監督が逮捕された事件で、阿部前監督の長女が相談したAIということでも話題になった。
「画像生成(※動画生成は非対応)は今、圧倒的に世界ナンバー1であり、文章や調べものでも高い水準にあります。話し相手としても、チャッピーが使いやすいかな」
小澤氏の解説のとおり、高度な自然言語処理技術が特徴の「チャットGPT」は、質問に対して会話のように適切なトーンで返答してくれる。いわば、どんなことでも気軽に相談できる“友達”的AIといえそうだ。
一方、動画とほかのグーグルが提供するサービスとの連携に強いのが「ジェミニ」だ。
「動画や音声を自然に生成する精度は、今は『ジェミニ』が群を抜いています。また、YouTube、グーグルマップ、グーグルカレンダー、Gメールと連携できるのも強みです。『今日まだ返信していない重要なメールはある?』『1時間後の予定をカレンダーに入れて』といった指示もできます。
過去のメールや予定を踏まえ、『北海道の観光地を調べて』と頼めば、『ここは以前行っているので外します』と提案してくれるような使い方も期待できます」
Gメールや過去の検索内容を分析して最適な旅行プランを提案してくれるとは、まさにプライベートにおける優秀な秘書といったところか。
最後は仕事の“名参謀”といえるAI「クロード」だ。
企業戦略の立案能力、ビジネス文書の作成能力は群を抜いているという。
「ビジネス用途でいうと、今は『クロード』が先頭を走っている印象です。戦略や企画書の作成など、テキスト系のタスクに強い。メールの返信も、私はすべて『クロード』に作成してもらっています」
小澤氏は、AIのスライド作成やブラウザ操作、メール返信の型を登録する機能なども活用しているという。
「AIに自分の情報を教えておくほうがいいです。旅の予約の際、喫煙者かどうか、ベッドはキングサイズか、新幹線はグリーン車か。いちいち入力せずにすむよう、早めに覚えてもらうのです。だから、どのAIに記憶(データ)を蓄積させるかが重要。親友を一人に決めるようなものです」
だが、AIに気軽に個人情報を入力していいものか――。
小澤氏は、パスワードのような明らかに危険な情報を除けば、過度に恐れる必要はないとみている。
「Gメールのアカウントがハッキングされるほうが、よほど深刻な問題ではないでしょうか。個人情報のリスクも、それと同じことです。入れたくなければ入れなければいい。ただ、私自身はまったく気にせず入力しています」
猛スピードで進歩するAIは、どこへ向かうのだろうか。
「『質問に答えるAI』から一歩進み、『作業をまかせるAI』になっていきます。メール対応や資料作成、会議設定といった作業を、指示するだけで自動的にこなしてくれるようになれば、かなり頼れる相棒になるでしょう」
かつてSF映画で描かれてきた「AIとの暮らし」が、現実になろうとしている。
写真・木村哲夫
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