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藤井聡太七段「伝説の棋士」と戦ったら勝てるのか?
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.06.15 09:00 最終更新日:2018.06.15 09:01
「ここまで早いペースで昇段できるとは思っていなかった。目の前の一局一局に全力で打ちこんできたことが、昇段という形で現われたのは、嬉しく思います」
15歳9カ月という、将棋界史上最年少で七段に昇段する快挙。5月18日、藤井聡太七段は、竜王戦ランキング戦の5組準決勝で船江恒平六段(31)に勝ち、こうはにかんだのだった。
現役のトップ棋士を公式戦で次々と撃破し、もはや敵なしの藤井七段。だが、将棋の歴史上には、綺羅星のごとき伝説の棋士が存在する。もし、藤井七段が彼らと戦わば……。
17歳3カ月での七段昇段最年少記録を61年ぶりに破られた加藤一二三九段(78)が、彼ら名棋士たちと自らの対戦を振りかえり語る。
「初の実力制名人となった木村義雄先生は、角換わり腰掛け銀の研究を究め、木村定跡を完成させました。藤井さんも腰掛け銀は得意なので、角換わりの激戦になるのは必至。また、終盤の寄せが同じく上手い村山聖九段とも、投了まで目が離せない戦いとなります」
だが、観戦記者の椎名龍一氏は、以下にあげた歴史上の名棋士たちをも、藤井七段は圧倒すると予想する。
「お互い何も知らない状態で指せば、藤井七段が10局指して9勝1敗、8勝2敗くらいの結果になる」
加藤九段も、「みな才能豊かな棋士ばかりですが、藤井さんには欠点が見あたらず、互角以上の戦いをするでしょう」と舌を巻く。
苦戦する相手は、あの大名人だけ。
「振り飛車戦法を多用した、最盛期の大山康晴十五世名人です。居飛車党の藤井さんとは、振り飛車対居飛車の戦いになる。大山先生は相手の攻めを封じる “受け” の巧者。長期戦になれば、藤井さんは苦戦します」(加藤九段)
時代の変化が、藤井七段有利に働く。
「研究したい棋譜を探すのにも一苦労した時代に比べ、いまではコンピュータのデータベースで検索すれば、研究課題の局面が何例あるか、すぐにわかります。学ぶ環境が違う。
大山、升田、中原、米長、谷川といった世代から学び、『羽生世代』によって洗練された将棋観を、藤井七段は学びながら、さらに発展させていけます。この点でも有利といえます」(椎名氏)
だが最年少名人位は、非常に難しい。
「順位戦で毎年昇級すれば18歳で名人戦挑戦権を争える。でも、B級以上は猛者揃い。羽生さんでも、ストレートで勝ち上がれなかった」(加藤九段)
最短で “最年少史上最強名人” となるには、あと4年だ。
(週刊FLASH 2018年6月5日号)