
生まれも育ちも麻布のA子さん
『東京カレンダー』(2026年3月号)が、「麻布のこれから。」と称して麻布の一流名店を特集し、大きな話題となった。特集内では、麻布のなかでも別格の威厳を放つ南麻布や元麻布などの人気店舗を網羅していた。
「じつは、麻布に住む人は、特集に載っているような高級店にあまり足を運びません」
と、雑誌の記事に異を唱えるのは、生まれも育ちも港区・麻布のA子さんだ。A子さんは、医師としてクリニックを開業する父と、同じく医師でありながら企業経営も手掛ける母のもとに生まれた。現在、世界の主要大学ランキングでトップ20に入る大学に留学中だ。
「いわゆる港区女子といえば、タワマンや会員制のバーでのパーティーなど、華やかな生活を送る人たちをイメージすると思います。でもそれは、メディアの作り出した虚像。私も近くに住む友達も、そんな生活とは無縁です。私の普段の食事は、ご飯とおかず何点かがタッパーに詰められているケータリング専門店のでき合わせのものが多い。もちろん、近所に有名店がたくさんありますが、誕生日や“晴れの日”に行くことはあっても、日常的には行きません。ご馳走で、港区内に何店舗かある街寿司に行くのが楽しみでした」(以下「」内はA子さん)
A子さんのような本物の港区女子の日常は、一見“普通”だ。
「そもそも、港区で遊ばないんですよ(笑)。私はクラブなどの“ハコ系”には行かないですし、学生なので、どの飲食店もたいてい高くて入れません。帰国したときに近所の友達と行くなら、カフェは広尾が多いです。買い物なら渋谷。GAPとかZARAとか、ファストファッションが中心です」
金遣いも堅実といえる。ところが、それとは反対にA子さんが受けてきた教育は一般家庭と大きく異なる。
「進路は、ほぼ父の教育方針です。学校を選ぶときに一番こだわっていたのは英語環境でした。じつは、インターナショナルスクールと地元小学校、中学校のダブルスクールでした。インターは日本の法律(学校教育法)外なので、じつは同時に日本の学校に在籍することも可能なんです。これらの教育は、私の将来への配慮でした。
父は、とにかくネイティブの英語を身につけることを目的にしていました。それも、年齢や状況に合った英語が話せることを目指しました。じつは、海外生活を経験した帰国子女でも、帰国した時点の会話力のまま止まってしまう人もいるそうです。母は経営者なので日本にいなければならず、小中高は海外留学の選択肢はありませんでした。なので、日本にいながら可能な限り英語圏に近い環境を作ることを選んだそうです」
そして、幼少期のA子さんには特別な“居場所”があった。
「私の場合、インターと学童の友達がほとんどです。学童の友達とは、今でもほぼ全員と付き合っています。学童といっても、放課後に子供を預けるような場所ではなく、学校が終わってから父が迎えに来る夜10時くらいまで、勉強、夕食、入浴をする場所でした。ほとんど“自宅”みたいな感じです。先生はイギリスの方で、定員はわずか10人ほど。日本を代表するロックアーティストや、有名な元プロ野球選手のお子さんもいましたよ」
気になる費用について聞くと、驚きの金額が飛び出した。インターの学費が年間約250万円、学童が年間約360万円だという。もちろん全ての港区育ちの子どもに当てはまるわけではないが、彼女が育った環境は巷に流行る“港区女子”という言葉から想像する世界とは異なることがわかる。
現在暮らす自宅について聞くと、もともとは分譲マンションだった建物を、父親が15年ほど前に一棟購入したものだという。
「1階に1戸という造りで、それをリフォームして家族で住んでいます。敷地が約100坪です。周辺の知り合いには、麻布に自宅があるのにすぐそばに別荘があるという方もいらっしゃいます。ほかにも、父はハワイのワイキキに別荘を持っているのですが、ご近所も同様で、年末やお盆休みに仲の良いメンバーで一緒にハワイで過ごしているそうです」
本物の港区育ちは、目に見える華やかさではなく中身に投資を惜しまない人たちのことだった。
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