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死者は200人超「西日本豪雨」被災者が語る「恐怖の一夜」
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.07.15 17:07 最終更新日:2018.07.15 18:49
6月28日から7月9日にかけ、広島県、岡山県、愛媛県など西日本に降り注いだ雨。気象庁は「平成30年7月豪雨」と命名、200人以上が死亡する甚大な被害が出ている。本誌は、92人が亡くなった広島県に入った。
7月6日から7日には、雨による土砂崩れで、広島市と呉市を結ぶ国道31号線が遮断。土砂崩れが起きた坂町水尻地区に住む畑中亮二さん(60)が、自宅が被災したときの様子を話してくれた。
「家にいた妻によれば、少量の水が家の中に入ってきたなと思ったら、すぐに大量の雨水が流れ込んできたそうです。ペットの犬を抱いて裏口から逃げようとしてドアを閉めると、中からゴゴゴ、という音とともに土砂があふれてきたと。隣に妻の実家があって、そこの2階に避難するように電話で伝えて、地域の消防団員に救助に向かってもらいました」
畑中さんは、自宅に帰る途中で、娘と一緒にいた。家に帰ることは難しいと判断し、近隣のスーパーに避難すると、すでに地域の住民でいっぱいだったという。
「翌朝自宅に戻ると、家の中は泥だらけ。ヘドロの匂いというか、なんとも言えない悪臭が立ち込めていました。取り除こうとしていますが、4日間かけてもまだまだです」
土石流が発生する恐れがあるとして、地区全域に緊急避難指示が発令された呉市天応地区も、被害が大きかった場所の一つだ。特に、6日から7日にかけて降った雨が、各地で土石流や土砂崩れを発生させている。住民は当時の様子をこう振り返る。
「最初は長く降り続く大雨だなと思っていたんです。そうしたら、次第に外で大きな声が聞こえてきて。外を見ると、川が大きく氾濫していたんです。自分の車が流されているのが見えましたが、なす術はありませんでした」(40代女性)
「被災当時は自宅にいて、気づいたときには土砂で道がせき止められて、逃げ道を失ってしまった。なんとか難を逃れましたが、避難指示が出たときに上空を飛んでいたヘリコプターの音で、猫が逃げてしまいました。まだ帰ってきていません」(50代男性)
前出・畑中さんはこう話す。
「これからは、緊急の場合にもすぐに動けるよう備えておかなくてはいけないと思いました。まさか、自分に土砂災害が降りかかるとは思ってもいませんでした」
14日時点で、30人の安否が不明のまま。大雨が西日本各地に残した爪痕は、すぐに癒えそうにない。