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西日本豪雨災害「ボランティアが来ない」地域住民の嘆き
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.07.23 11:00 最終更新日:2018.07.23 11:00
本誌カメラマンの西日本豪雨災害の取材は、まもなく2週間となる。広島県呉市安浦町に入ったのは7月17日のこと。山肌に沿うように家々が建つ小規模な集落は、山からの木や土砂が直撃していた。
「あなた方は、片づけの邪魔をしに来てるの?」
集落の取材のため歩いていると、あるご夫婦にそう声をかけられた。聞くと、呉市内の別の場所で避難指示が出ている最中に、テレビのレポーターからしつこくコメントを求められたことに嫌気がさしていたからだという。
「ここは報道がまったく来ていないから、撮ってもらおうよ」
そう言ってくれたのは妻の方だった。
たしかに、この集落は被害に遭った家の数は少ない。しかし、被害に遭った家の惨状は変わらなかった。報道されることもなく、ボランティアが来ることもない。
上田清さん(63)の自宅には、何本もの大木が突き刺さるように入っていた。「家族や近隣の住民の力だけでは、復旧作業は進みません。一刻も早く、ボランティアの方々が来られるよう交通の整備もしてほしい。私たちみたいに苦しい思いをしている地域はたくさんあると思う」
上田さん宅には、土砂も大量に入り込み、手が付けられない状態が続いていた。
「お水を飲んでいきなさい。飲んだ方がいいから」
上田さんはそう言い、水を差し出した。被災して大変な方に頂くわけにはいかないと断った。だが、「あなた方も暑いなか、大変でしょ」と言われ、ご好意に甘えることにした。上田さんは、おにぎりと梅干も分けてくれた。
寸断されていた道路は、自衛隊が土砂をどかして復旧させたという。しかし、まだ集落の中に重機を入れることができず、住民は自力での作業を強いられていた。上田さんが住む安浦町中畑地区含め、被災した地域には高齢者が多い。
住民の1人は、「若いボランティアの人とか、人手が来て欲しいです。年寄りだけではとても……」と肩を落としていた。
酷暑が続く今夏。復旧のスピードの差が、住民をさらに苦しめている。