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藤井聡太の29連勝を止めた「佐々木勇気六段」CMの打診もあった
ライフ・マネーFLASH編集部
記事投稿日:2018.08.01 16:00 最終更新日:2018.08.01 16:00
藤井聡太に初めて黒星をつけた男は、一躍世間に名を轟かせた。対局が決まったとき、佐々木勇気六段は師匠の石田和雄九段に電話をした。
「当日はどんな気持ちで臨めばいいでしょうか。対局室には何分前に入った方がいいでしょうか」
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取り巻く報道陣の数、世間の注目はこれまで経験したことがないものだった。いかにして、冷静に自分の将棋を指すか。幼い日から自分を育ててくれた師に、心の相談をした。気迫は報道陣にまで伝わってきた。意地を示した勝利だった。
メディアはニューヒーロー誕生と囃したてた。端整なルックス、スイス・ジュネーブ生まれ。タレント的要素は、棋士のなかでも目を引いた。CM出演の打診まであったという。
しかし佐々木はこうした依頼を断わり、取材に応じることもなかった。のちに『師弟』のインタビューで当時の心境をこう明かしてくれた。
「タレントとして扱われるよりも、棋士として見て欲しかった」
小学4年で小学生名人戦で優勝。史上最年少だった。 16歳1カ月でプロデビューを果たす。読みの正確さと天性の冴えは、プロのなかでも早くから高く評価されてきた。
「本来なら、勇気君はもうタイトル戦に出ていなければならない」と師の石田は話す。棋士としては、高校進学が回り道だったのかもしれない。佐々木は言う。
「高校に行ったことに後悔はありません。限界までやって負けたときは、自分に才能がないのかと落ち込む。でも時間がたつと、努力が相手より足りなかったとも思える。悔いは残したくない。棋士人生は長いようで、短いですから」
ささきゆうき
1994年8月5日生まれ。23歳。スイス・ジュネーブ生まれ。埼玉県出身。石田和雄九段門下。2004年、小学4年生で小学生名人戦優勝。同年、六級で奨励会入会。2010年、16歳1カ月で四段昇段。これは当時歴代5位の若さであった。2017年竜王戦決勝トーナメントにて、藤井聡太の29連勝を止める。イケメン人気棋士の一人だ
写真&文・野澤亘伸
(週刊FLASH 2018年7月10日号)